10わかってもらうのに15か20説明しないと……
イチロー選手が語っていることは、まさに国際結婚カップル間のコミュニケーションの問題そのものでした。
違う文化を背景にもつ2人は、同じ1つの言葉を聞いて同じことを連想する確率は、日本人同士よりはるかに低いと言えます。
例えば、「桜」という言葉から思い浮かぶことや、「お米」という言葉から連想されることは、文化・生活・歴史的背景を踏まえても、当然違うものになるのです。
それは相手にとっても同じこと。自国の人同士だったら、1つの言葉から共通のイメージをほとんど無意識のうちに抱くことができても、日本人であるあなたがそれを思い浮かべるのは、至難の業です。
さらに、言葉の問題があります。夫婦のどちらかが、まだ言語に堪能ではない場合もあるのです。
同じ文化のベースがある人同士なら、上述のように、多少言葉が足りなくても共通のイメージが補ってくれますが、国際カップルではそうはいきません。自分が考えていることや感じていることを、正確に10伝えようとするならば、最低でも10は説明しないと……。
それで分かってもらえるならまだいいほうで、イチロー選手が言っているように「15説明しても理解されない」ことだってあるのです。
私のイメージですと、10分かってもらいたかったら、まずストレートに言葉で10説明し、さらに5を別の角度からの言い方で補い、そのうえ身振り手振りで5を付け足す、という感じかな……。
それでもまだ相手が充分理解してくれていないようだったら、また別の言い方で10くらい説明しないといけないかもしれません。
面倒なようですが、これをキッチリやっていかないと、国際結婚カップルの意思の疎通は、なかなか円滑にはかれないのです。
イチロー選手も苦労している
イチロー選手が語っていた“難しさ”は、異文化コミュニケーションの難しさです。
チーム内には様々な国や地域出身の選手がいるわけですから、意思を伝えるには、やはり逐一言葉にしなければなりません。ところが、少年野球時代から同じような経験をし、日本の野球スタイルを知り尽くしている王ジャパンのメンバーたちとは、多くを語らずともツーカーで分かり合える……。そのラクさ、ウレシさが、あのように珍しく感情を素直に表に出すイチロー選手につながったのではないでしょうか。
奥さんは日本人でチームメイトにも日本人がいたとしても、やはり彼も異文化のなかにドップリ身を浸しているのです。
そういった状況を体験した人でないと、あの言葉は出てこないでしょう。
ふだんは寡黙でクールなイチロー選手。マリナーズで活躍し、MLBで記録も作り、すっかりアメリカの生活に適応して、順風満帆のようですが、やはりその陰には苦労があるのだなと、改めて感じました。
国際結婚カップルのコミュニケーションは、異文化コミュニケーションそのものです。
今なら、私たちが国際結婚の苦労話や海外居住の大変な面を語ったら、イチロー選手も心から理解してくれるのではないかと思ってしまいました。
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