やむなく正規料金で航空券を購入

ただちに帰国準備を始めました。

彼のお父さんがすぐに空席状況を調べてくれました。
幸い、午後一の直行便があり、席も空いているとのこと。約3時間後のフライトだったので、すぐに空港に向かいました。

緊急でもありましたので、チケットは航空会社のカウンターで購入。正規運賃でした。たしか45万円くらいだったと記憶しています。高額な出費でしたが、そんなことは言っていられません。その方法(航空会社カウンターで直接買う)しか思い浮かばなかったし……。

Bereavement Fare(遺族特別料金)のことを知っていたら、その場で訴えたのですが、その航空会社はBereavement Fareの料金システムはもっていないようなので、今から考えても、結局、正規運賃で買うよりほかなかったかなあと思います。

約12時間のフライトの間、私はほとんど泣き通しでした。父のことを考えただけで、涙があふれてくるのです。ご両親の勧めで彼が一緒に来てくれたことを、あれほど心強く感じたことはありませんでした。

不運だと思っていたが、実は……

父の死因は、やはり心筋梗塞でした。深夜に気分が悪くなり、救急車で病院に運ばれたそうです。その時点で妹は私に電話を入れているのですが、運悪く、私はヨーロッパに発つため、アパートを出て空港に向かっているところだったのです。
ほとんどタッチの差。その前に、連絡をキャッチできていれば……。

そして、ヨーロッパまでの長いフライトの間に、父の容態は悪化し、入院わずか2日で帰らぬ人となりました。

私はこの時間差を不運だと思っていたけれど、後に「そうではなかった」と思い知らされることになります。

というのは……
スイスからの便は朝成田に着き、電車を乗り継いで、昼頃家に帰った時は、父はまだ納棺前で、自宅に安置されている状態だったのです。

実は、カナダからスイスへ、そしてスイスからまた日本へと、時差続きで、今がいつなのか分からなくなっていたのです。家族に尋ねると、亡くなったのは昨日の夕方とのこと。私にはとてつもなく長い時間がたったように感じられましたが、まだ24時間も過ぎてはいなかったのでした。
そんな少し前の出来事だったのかと、また新たな涙があふれました。

帰ったらもうお骨になっていた、という人も

葬儀の後、しばらく日本に滞在し、バンクーバーに戻ってからのこと。私は知人やお世話になっていた方々にご挨拶に行きました。そのとき、何人かの方がご自分の体験を話してくれました。

ある方は、ご家族を亡くされたとき、仕事の都合でどうしてもすぐには帰れず、葬儀も何もかも終わった後に、やっと帰国できたのだそうです。
また別の方は、お父様を亡くされたとき、すぐ帰国したにもかかわらず、家に着いたときにはもうお骨になっていたとのこと。実家が地方にあるため、成田からもすごく時間がかかるからだとおっしゃっていました。

その方たちに比べたら、私はまだ運がよかったと言えるでしょう。


■いつ何が起こっても後悔しないようにするためには……