こんなはずでは<3>: 仕事を続けるつもりだったのに……
日本では“天職”とも思えるような、やりがいのある仕事をしていました。その仕事を通して主人と知り合い、結婚して、彼の国に住むことに。語学関係の仕事だったので、外国に住むことには何の不安もなく、将来的にも仕事は続けていきたいと思っていました。
ところが……
いざ住んでみたら、その街には同じ職種がなかったのです。けっこう大きな都市だったので、絶対に似たような仕事はあると思っていたのですが、予想以上に業種や職種が少なく、しかも不景気。同分野どころか、仕事自体を探すのに四苦八苦するような状況でした。
主人の収入だけでも充分暮らしてはいけましたが、私は生涯を通して自分を活かせる仕事を続けていきたいという夢がありました。小さい頃から、働く母の姿を見て育ったせいか、主婦だけ・子育てだけという生活は、想像できなかったのです。
仕事をしたいのに見つからない、日本でのキャリアをここでは認めてもらえない・維持できないというフラストレーションはたまるばかり。
加えて、自立心旺盛で何でも1人でこなしてきたのに、主人の国に住んでいると、どうしても彼に頼らなければならないことが多くなるという現実。それが夫婦間に微妙な力関係を生じさせるような気もしました。
そんな悩みを主人にいくら訴えても、完全に理解してはくれません。「私はキャリアをあきらめ、家族とも友人とも離れて、アナタの国へ来ているのに……」という不満はたまっていく一方で、ときには彼に当り散らしたりもしました。
なんで結婚前に現地のことをもっとよく調べなかったのだろうと、自分を責めたり、結婚そのものを後悔したこともありました。
結局、それまでの自分の人生プランを全部変更せざるを得ず、その現実を受け入れるのに2~3年はかかりました。
今は時代も変わり、インターネットもありますので、以前やりたかった分野に近い方向での仕事を見つけ、完全には無理ですが、少しずつキャリア復帰を目指してがんばっています。