今までのお話は
「<前編>親戚の猛反対を乗り越えて」
「<中編>夫と母の板ばさみで苦悩した日々」
「<後編>夫の希望は「チームになりたい」」
をお読みください。
■いずれはアメリカに行くかもしれないことを覚悟
結婚するとき、ご主人はずっと日本にいると言っていました。
だからこそ、Y子さんが結婚に踏み切れたということもあったのですが、年齢を経てくると、やはり少し考え方が変化してくるようです。
「夫は、今は日本にずっと住みたいとは思っていないようですね。
ただ、息子のことを考えると、現在通っている学校のほうが教育レベルも高いし、大学進学にも有利だから、子供が卒業するまでは日本にいたいと考えているようですけど……。
息子はたぶんアメリカの大学に進学するので、子供が大学に入ったら、自分もアメリカに戻って、向こうで再就職してもいいと思っているらしいんですよ。最初の頃のように、ずーっと日本にいるという考えではなくなってきているようなんですね。
アメリカは彼の生まれ故郷で、老後はそういうところで暮らしたいと口にするようになりましたから」
なるほど、事情が変わってきましたね。
Y子さんのお気持ちはどうなんでしょう?
「最悪、行くと言われたらしょうがないかな、って思います。でも、あっちで(自分が)ノイローゼになっちゃったらヤダなとか、不安もあります。アメリカは場所によって住環境がかなり違うので、きびしいところもありますよね。
それに、若いうちならいいけど、たぶん、年をとってから行くとなると、食べ物の問題があると思うんですよ。自分が元気で自活できるうちはまだいいですけど、もし何か障害かが出てきて、老人福祉施設に入らなきゃならないようになると、まず食べ物のことがすごく大変になってくると思う……。
今だって既にどんどん日本人の食べ物に戻っているし、もともと日本食が大好きだから、アメリカに行っても日本食にしたいと思うだろうなあ、と……。
誰でも年をとればとるほど、故郷が恋しくなるんですよね。だから、主人もたぶんそうなんだと思います」