世帯と世帯主
ところで、この一連の手続きで、新たに知ったことが1つありました。外国人登録申請の際には「世帯主」というのがやたら出てきます。世帯主とは、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められる者」のことをいいます。では世帯とは何かというと、「居住と生計をともにする社会生活上の単位」なのですね。よく“二世帯同居”とか“二世帯住宅”という言葉を聞きますが、これは、生計を別にする2つの世帯が一緒に(または同一敷地内に)住んでいる状態を表しています。
逆に、たとえば夫婦であっても、勤務地の都合で別の場所に住んでいて、それぞれに収入があって生計をたてている場合は、それぞれが世帯主になるのだそうです。
外国人配偶者は世帯主になれない
外国人配偶者は世帯主になることはできないのです。申請時にそう言われ、後に改めてまた市役所に確認したところ、配偶者など日本人の家族がいる外国人は世帯主にはなれないのだそうです。住民基本台帳法にそう定められている、とのことでした。ただし、日本人の家族がいなくて、1人で住んでいる外国人は、世帯主になれるそうです。そうでないと、国民健康保険に加入できませんからね。仕事等で1人日本に住んでいる場合、などでしょうか……。
実際に生計を支えているのが外国人配偶者の場合
そうはいっても、実際に収入を得て家族の生計を支えているのが外国人配偶者だというカップルは少なくありませんよね。その場合は、外国人登録カードの裏面の備考欄に、“主として世帯の生計を支えているのは本人である”というような主旨の但し書きを、市役所のほうで記入してくれるそうです。ただ、カードの表面に「世帯主:○○○○」と日本人配偶者の名前が明記されていることに変わりはありません。
世帯と戸籍は別もの
国際結婚する際、日本人は、女性であれ男性であれ、自身が「戸籍筆頭者」となります。しかし、「戸籍」と「世帯」は別ものであるため、「戸籍筆頭者」になったからといって、自動的に「世帯主」になっているわけではないのです。自分が「世帯主」になるためには、そのための届けを出さなければなりません。
たとえば、しばらく海外に住んでいた女性が、その間、親の世帯に入っていたというケースもありますよね。その場合、女性が国際結婚して日本に住むことになり、配偶者の外国人登録手続きをすると、外国人登録カードの表面に書かれる世帯主は親の名前になります。
もし自分(この場合は妻)の名前を世帯主としてカードに記されたいなら、まず「世帯主変更届」を出して、自分が親から独立した「世帯主」になる手続きを先にする必要があります。そうでないと「世帯主」欄には親の名前が書かれ、世帯主との関係は「子の夫」と記載されることになります。
もちろん、後から変更もできますが、その場合、変更された世帯主名はカード裏面の備考欄に書かれます。表面はラミネート加工されているので、直せないのです。こうして発行された外国人登録カード。常時携帯し、なくさないように注意しましょうね。