入国管理局、初体験
都合で行くのが午後になってしまい、初めて訪れる入国管理局出張所の扉をおそるおそる開けると、中にはけっこう人が待っています。どうやら番号が書いてある紙を取って、順番を待つらしい。待つのは覚悟で来たけれど、いったいどのくらい時間がかかるのだろう?入国管理局のホームページからダウンロードした申請書に下書きをしておいたので、まずは本物の申請用紙を入手して清書しなければと、申請書類関係が置いてあるトレーを探しましたが、なんと在留資格認定証明書交付申請書だけないのです。どこを探してもない。申請書を記入してから番号札を取ろうと思っていたのに、これでは先へ進めません。困って、窓口の人に聞いてみました。
「あのう、在留資格認定証明書交付申請書の用紙をいただけないでしょうか?」
そうしたら「在留資格認定証明書交付申請書ですか?(ここで一瞬立ち上がりそうな素振りを見せたのに、すぐに動作をやめ)番号を取ってお待ちください」と面倒くさそうに言われてしまいました。
そりゃどんな要件を聞くのも順番かもしれないけど、あとで見たら、申請書はその人の真後ろのトレーの上に置いてあったのですよ。ちょっと手を伸ばせば取れるところに。それを渡すだけなのに、私は20人以上も待たなければならなくなってしまいました。
窓口は3つありましたが、見ていると1件にかかる時間がだいたい30分くらい。私の番はいつ来るのだろう? と不安がよぎりましたが、もう考えても仕方ないので、腹をくくって待つことに……。
やっと順番がきたけれど
約2時間後、やっと私の番になりました。番号が呼ばれている窓口(先ほど申請書を取ってくれなかった人の隣)に行って、在留資格認定証明書交付の申請に来たことを告げると「申請書は書いてありますか?」
「まだです。先ほど用紙をいただこうと思ったら、番号を取って待ってくださいと言われたので」そう言うと、その窓口の人、いかにもあきれたように「えっ、まだ書いてないんですか?」
私、ムッとしましたよ。だって、すぐ後ろにある用紙を渡してくれないで、番号を取って待てと言ったのはそっちでしょ!!(隣の人だったけど)
でも、お役所相手だと、なんとなく“相手の心証を悪くしてはいけない”という気持ちがどこかで働くんですよね。だって、相手の気持ちを害して、その人の感情で審査の判断が左右されたりしたら困るではないですか。こういうこと、カナダの移民局でもよくあると聞いていたし。そこで、ムカつく気持ちをグッとこらえ、「はい」とだけ言って、用紙を受け取りました。
さあ、早く書かなくっちゃと内容を見て愕然。ダウンロードしたものと違う!? せっかく下書きしておいたのに。なんてこった。これが高崎出張所だけのことなのか、どこでもそうなのかは分かりませんが、結局、書き写すのにも新たに現れた項目に記入するのにも、予想外の時間を費やしてしまいました。
そして、受付締め切り時間の15分前、ついに今日は提出することを断念! もう館内は閑散としています。質問したいこともあったので、先ほどの窓口に行き、「今日はもう間に合わないので出直します」と言うと、さっきは嫌味っぽい口調だった人が、なぜか慌てたふうになり、「いや、まだ時間がありますから……」などと言い出すではありませんか!
相手が低姿勢になったので、私もつい本心をポロッと言ってしまいました。「先に用紙をいただけていれば、待っている間に全部記入できたんですけどね」
この皮肉がどれだけ通じたか分かりませんが、とにかく私はその日申請できず、質問だけして帰ってきたのでした。
お役所対応マニュアル
日本に限らずどの国でもそうですが、仕事を効率的にやろうとか、申請に来た人が戸惑わないようにとか、そういうことは考えないところなんですね。本人だけでなく配偶者も仕事を休んで付き添って来たりしているでしょうに、下手したら何度も足を運ばなければならなくなっている状況を、何とも思っていないのでしょうか?実は、私の質問にも明確には答えてくれず、とにかくまず書類を出してみてくださいと言うだけなのです。提出してからダメと言われ、二度手間三度手間になりたくないから、事前に質問しているのに……。納得できない思いを胸に、トボトボと帰路についたのでした。
できれば事前に入国管理局に行き、申請用紙だけ先にもらってきておくことをおすすめします。家の地図を描くなど手間のかかる記入もあります。申請当日は早く余裕を持って行きましょう。場所や時期によっては、とても混雑していることがありますし、その場で何か書かされることもありますから、時間の余裕をもって。 夫の在留資格認定証明書申請の手続きはすべて終わり、ホッと一息。あとは証明書が届くのを待つばかり。
しかし、約1カ月後、思いもよらない事態に……