釣瓶落としの晩秋の夕まぐれ、訪れてみたい蕎麦屋





東京が、業務モードの帷を卸し、閉じた瞼の内側で、幻想的な物語を始めるように、夕景がグラデーションを深めて、群青の宵闇へと暗転するころ、蕎麦好きにはたまらなく蕎麦前(蕎麦屋で呑む日本酒のこと)を欲してしまうスイッチが入るものである。



そこには、真紅のペイントに桁を飾った吾妻橋、そして優雅なローゼ系のアーチをもつ駒形橋、さらには、無機質な首都高速の高架が被さってきて、賑やかな景観を形づくっている。



永井荷風が、そぞろ歩いた東京が、ここにある。なんてことを思いながらも、心はすでに、一直線に蕎麦前と蕎麦に向かっている。
さて、今日の蕎麦屋は、新しくて古い名店。吾妻橋藪そば。