【実は、よい道具さえあれば、そば打ちの工程でいちばん簡単なのが包丁】
そば切りをする人で、包丁がトラウマとなっている人は多い。でも、包丁はノシの工程がきちんと同じ厚みに整っていれば、あとはとても簡単なのです。まさしく目をつぶっていても、鼻歌をうたいながら正確な幅で切ることができます。
ただし、ノシが不正確だと、そうはいきません。どんなに幅を揃えても、ノシの厚みが場所によってまちまちだったら、太さの揃った麺にはならないことはおわかりいただけますよね。
【それでは、簡単に切りそろえることができるそば切りを動画でチェック】
まずは、この画像をご覧ください(QuickTime Playerが必要です)。
▲動画を再生(QuickTime)
■そば切り包丁を使うチェックポイントは、たったこれだけなんです。
□こま板を麺帯の中心にセットして、左手でしっかりと押さえる。動画に出てくる川越そばの会製のこま板のように、左手を置く位置が明示されたポジショニングガイド付きのこま板があるとさらによい。こま板は、7kgの力でしっかりと押さえる。力加減をヘルスメーター等で測ってみるといい。
□庖丁は、前後左右ともにバランスがよく片刃のものを使う。動画は、寒山拾得尺一青一鏡面包丁を使用。包丁のバランスのよさは、動画のように、そばを切った直後に手を離して包丁が直立すれば合格だ。
□庖丁の動作は、三つの要素によって構成されている。
(1)刃をまな板に垂直に押しつけ、包丁でこま板を送るための支点を作る。このとき、刃を14kgの力でまな板に押しつけるとよい。ヘルスメーターでチェックしよう。
(2)刃を1.5度こま板側に傾ける。1.5度とは、時計の文字盤の1分の四分の一である。これでこま板は1.3mmぶん先に送られる。
(3)刃をこま板の枕と麺帯の上部にできたL字型のコーナーにあて、刃の垂直を維持したままこま板の枕をガイドにしてまっすぐ前方にスライスするときれいな麺線ができる。
包丁を握りしめてしまうと、こま板の枕が役に立たなくなり、手切りとなってしまうため、麺線が乱れるから要注意だ。
バランスのよい、片刃の包丁さえあれば、そば切りはとても楽しい。青二や青一など、高級なハガネの包丁を手にすれば、まさしく一生ものなので、末永く気持ちのよい仕事ができるというわけだ。
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