■いよいよ決闘と思いきや、そば啜って和む
約束の日、イタリアの人たちは、来た。もうどうなってもいいやと、覚悟はできていた。
でも、よかった、全然怒ってはいない。彼らは純粋に麺に関するマニアックなドキュメンタリーを制作するチームだった。いろいろとアングルに注文をつけてくるんだけど、私もまぁ撮られ慣れているので(笑い)、「ここはこういう角度のほうがいいよ!」って教えると、最初はいろいろゴタクを並べているのに、こちらの主張をちょっと試すと、「わ、これいいよ、最高だよ!最高!」みたいなリアクション。
そういうことなら、この撮影、楽しませていただきましょう(笑)。
今回のキャストは、全員がラテン的な性格だったわけで、撮影はとっても賑やかでした。
▲おそばは、お代わりのリクエストもあって大好評
この写真は、そば食べながら談笑しているところ。ここで、かねてよりイタリア人に聞いてみたいと思っていたアルデンテの話を切り出した。
「そばは芯を完全になくすまで茹でます、芯が残るアル・デンテのような茹で方は、昔から『茹で前(茹で足りないこと)は恥』ということで、しません。どう思われますか?」と聞いてみた。
旨そうにそばを食べていた三人(二人は啜って、残り一名は若い日本の女性がパスタを食べるときのように、スプーンで麺を受けて)「あ、いいんじゃない。これ、スパゲティーニとは全然違うテクスチャだし、これもありだし、パスタもありだよ。でも旨いねそばって」と、食べることに夢中で、全然アルデンテを意に介していない(企画書に書いていたくせに)。
ここで気がついた、彼らはどちらかというと生パスタのDNAをもつ北イタリアのトリノから来ていたのであった!
というわけで、今回はそばとパスタのアルデンテ対決は、平和に引き分け。
こんどナポリやシチリアなど、がちがちのアルデンテ文化圏(?)からお見えになるお客様の登場を待つことにして、結論は持ち越しとなった。
安堵感に包まれる、私。はははは、そばは、負けなかった、国際交流もできた。