実は江戸時代の最高級メニューだった、玉子とじ
実は、玉子とじは天ぷらそばよりもお高いお品書きだったのでした。玉子がなかなか手に入らなかった江戸時代のお話です。
そういう事情で、一杯のお蕎麦に丁寧に玉子をあしらう玉子とじは、昔からそば店のメニューの中でも、かなり難易度の高いお品書きとして君臨しておりました。
ちょっと考えてみてください、おそばとおつゆを熱々の状態で仕上げるだけでも難しいのに、それに加えてふわっとした食感の玉子をトッピングにするのですから、これはなかなかの技です。
老舗の職人さんたちの中には、それこそ芸術的とも言える華麗な技をもつ人も少なくありません。
そういう「芸」を目で楽しみ、舌で味わってみるのも、蕎麦屋通いの楽しみと言えるでしょう。
さて、その難しい玉子とじをどうやってご家庭でこしらえるかというのがこの記事のテーマ。
ツボは3つほどですので、どうぞチャレンジしてみてください。
【玉子とじのコツ】
それでは、そのコツを伝授いたしましょう。
□まず、玉子の溶き方
少し大きめなボウルに玉子を割り入れ、菜箸の先をボウルの底に密着させたまま35回ほど力強く往復させます。玉子は混ざりきりませんが、これでオッケーです。といっても、あまりにも白味と黄味が分離しているというのもNGです。とにかくここが第一のキモ。
□おつゆは完璧に沸騰させる
ぐらぐらぼこぼこと汁を完全に沸騰させて、菜箸で汁をぐるぐるとかき混ぜます。
□玉子を流し入れるのもコツが必要
ここで汁の流れと反対の回転方向に片口容器から溶いた玉子を流し入れます。一本のスジのように落とし込むのがキモ。
これでオッケーです。
あとは蕎麦に盛りつけるときにちょっとしたコツがありますが、それはまたこんどの機会にでも。
卵は幸いにしてそんなにお高い素材ではないですから、チャレンジなさってはいかがでしょうか。
ちなみに私が担当しているプロ向けのそば教室では、最初途惑っておられる皆さんも、コツを呑み込むうちに、上手にとじられるようになります。