やわらなか空気感のなかで
まったりと過ごすそば屋
北のそば店には、個性的な店が多い。帯広の「そば切り工房 久呂無木(くろむぎ)」も、そんなユニークな店のひとつだ。築80年にもおよぶ当時の十勝支庁長宅として建築された館(私邸であったとか)をそのまま利用。裕福な知人の家からお招きを受ける、、そんなVIP感覚で訪れることができるそば店なのだ。
店内は、長い廊下に面した広い客室がメイン。その昔はここで冠婚葬祭や貴賓の接待が行われたのだろうなぁというシツライ。ここに通されただけで、なぜかとても贅沢な気分になる。
西側に広い庭があるので、冬でも小春日が廊下からさしこんできて、許されるのならばここでうたた寝でもしたくなる。そんなまったりとした空間なのだ。
その室内の空気をさらに柔和にしているのが、書院風の違い棚に恭しく置かれた管球式のアンプリファイヤーである。店内をほどよい音量のJazzで満たし、そば切りが到着するまでの時間をさらに優雅なものにしている。
なお、久呂無木(くろむぎ)とは「そば」の古い呼び方である。久呂無木と書いたのは、現代のひらがなが存在しない時代に漢字の音を使って「クロムギ」を表したものである。いわゆる万葉仮名である。なお、この他にも久呂牟岐というような書きかたもあったりするわけだが、要するに万葉仮名は漢字自身に全く意味はなく、その音のみを借用しているというわけだ。よろしくのことを夜露死苦なんて書くのも、実は漢字の超伝統的な使い方だったりするんだよね(笑)。
さて、いらぬ蘊蓄を傾けているうちに、ご自慢のそばが届いた。
ご覧のような細切りである。これだけのもてなしを受けて、630円とはお値打ちだ。(訪問:2005/11)
【そば切り工房 久呂無木(くろむぎ)】
住 所 帯広市東4条南8丁目13-1
電話番号 0155-23-4800
駐 車 場 4台(土・日曜は臨時P有)
席 数 32席
定 休 日 月曜(年始年末は特別な休業日あり)
営業時間 11時~14時30分、17時~20時30分