蕎麦にも、四季があるのです
築地教室アカデミーに向かう道すがらや、築地市場の中でとか、たまたま布恒更科築地店の前を閉店間際に歩いているときとか、とにかくご長男の始(はじめ)さんとはよく出会うのである。
そのたびに大井のご主人はどうなさっておられるのかなぁと、想い出してしまう。
この画像は去年のものだが、秋のいまごろの蕎麦として紫芋切りをお出しになっていた。鮮烈な紫が素敵なそばなので、ご紹介しよう。
▲長手のセイロに、結構なボリュームで提供される
布恒更科は、けっこうしっかりとした盛り込みなので、そば好きな人はウレシイに違いない。食事としてもまずまず納得できるボリュームとなっていて、お値段も相応とくれば、これは人気が出ないはずがない。
大井の布恒更科を訪れたのは、昨年のいまごろ、確か土曜日であったが、二時すぎというのにお客様が外まで行列を作っていた。
九月にしては暑い日だったが、折角ここまできたのだからと、しばらく行列の人となったことを覚えている。
▲紫芋切りの麺線に、迫ってみる
変わりそばにしては、割合しっかりとした麺線。つゆは布恒更科さん独自のしっかりとしたボディを感じるリッチなテイストである。
紫芋の粉自身にさしたるフレイバーはないのだが、この鮮烈な紫と魅力的な汁に誘われて、ついつい箸が進んでしまうのである。
▲なんとも年季の入った湯桶、本物の漆器はいいですね
粋な店というものは、隅々に至るまですべて粋なんだ。おかみさんのきびきびとした花番ぶりも粋なれば、年季のはいった湯桶のはげちょろけ方だって粋である。
どうですこのたたずまい。いま、そこらへんでこの重厚な仕上りの湯桶をちょいと買ってこようたって、そうはいきません。この堂に入った風情が啜るそば湯をもっと有り難いものにしてくれよう、てなもんです。
▲この一軒だけ、1950年代という風情が素敵
お店の周りは、すべてマンションだらけになったというのに、この蕎麦屋さんのまわりだけ、スカーっと抜けた空間になっている。
ウレシイですねぇ、タテツケのいい引戸をカラカラと開けて、暖簾をくぐって小体(こてい)な店に入っていって、酒とアテを見繕って、そばでしめる。
そういった楽しみ方が、ごくごく自然にできてしまう得難い店なのです、こちらは。
▲お人柄よろしく、お弟子さんも多い
ムリを云って、ご主人にカメラの前で微笑んでいただいた。どことなく、築地の息子さんと似ているんですよね (^_^)。
▲しっかりサインもいただきました(^_^)/
おいとまするとき、ご一緒に「出演」させていただいたそば本(DVD付)にサインをいただいた。
お名前のそばに、「蕎遊蕎楽」と添えてあった。
http://allabout.co.jp/gourmet/soba/closeup/
▲ガイド井上と伊島節(たかし)さん競演のDVD本
http://allabout.co.jp/gourmet/soba/closeup/
▲ご長男始さんがキリモリする布恒更科築地店
http://allabout.co.jp/gourmet/soba/closeup/
▲以前に大井布恒更科を取材した記事
《布恒更科》
■所在地 品川区南大井3-18-8
■電 話 03-3761-7373
■営業日 月~土曜、(祝日は昼のみ)
11:30~15:00
17:00~20:00
■休業日 日曜