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何の変哲もない往来から、ちょいと路地に入ってみると、意外なほどに粋なそば屋がある。こんな情景は江戸の町なら当たり前だ。

でも、それが朝っぱらもいいとこの7時半から開けているっていうことになったらどうだ。これは事件ではないのか(笑)。
寛永寺から上野桜木を下ってきてもいい。水族館あたりから、ふらっと根津権現へと逍遙するついででもいい。朝の散歩のコースに、粋で旨いそば屋が組み込めるなんて、文京区の人は幸せだと思う。
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▲不忍通りの「根津神社入口」が目印

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▲谷中・根津・千駄木(やねせん)アイテムが並ぶ

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▲なんだか思いきり懐かしい文房具店

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▲ちょいと京都風の佇まいの一角に…

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▲こんな感じの小粋な路地をもつ鷹匠

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▲大切な人とこっそり行きたい店だ

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▲席につくと、お茶のサービスがある

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▲セイロと深山の合もりも900円とオトク

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▲のびのび落ち着けるんです、朝から(^_^)

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▲入口の傍らに打ち台がある

早くから仕込みをしているから…

【閉めておくのもモッタイナイので開けてしまったとか】

仕込みのときにお客様が入ってくるというのは、なかなか煩わしいことではないかと想像するのだが、そういったことを鷹揚に受け止めてくれるのがこちらの女性オーナーのフトコロの深さだろうか?

ところで、江戸には下町と山の手をクッキリと仕切るボーダーラインがあった。駕籠町~神明町~道灌山下~団子坂下(坂の途中に藪蕎麦の前身「蔦屋)があった)~不忍池をひらがなの「つ」の字を描くように結んでいる現在の不忍通りも、そんな結界の一つだ。

今回訪れた「鷹匠」は、そんな微妙な地域の下町側のブロックにある。なんとなく懐かしく、それでいて気取らず居心地がいい。この店の魅力は、オーナーの人柄とあいまって町のDNAにも由来する。

谷中・根津・千駄木、通称「やねせん」。この町を舞台にした息の長いミニコミ誌がある。皆無とは言えないが、バブルの爪痕もさほどではなかった。住人は生まれてからずっとこの町を愛し、観光客?も訪れるようになった。散歩が楽しい町なのである。

【癒し系の町に、癒し系のそば屋】

下見板の壁の長屋に、レトロなペンキの看板。京都、川越、金沢など、古い町の裏通りにひょこっと残るこんな風景。鷹匠はこんな町の路地の奧に、ひっそりと隠れている。

往来の門に掛けた臙脂の暖簾。そして、蕎麦好きを誘うように竹塀の路地の奧で揺れる麻暖簾。この対比、このパースペクティブ!うーむ、憎い。

中に入ると意外なほど広くスッキリとした店内、自分で見繕って居場所を決めると、すかさずお茶のウェルカムサービス。そばはせいろ(二八)と深山(生粉の太打ち)があって、これらの合いもりもありますというので、お値打ちな合いもりを注文する。

しばし後に出てきた蕎麦は、甘皮が引き込まれてもちっとした噛みごたえがある深山と様子のいい二八。少し出汁がちの華やかな汁が蕎麦によく合って、美味しくいただきました。

ふと時計を見るとまだ午前8時前。自動車でなければ、後先の仕事のことは忘れて上酒を一杯所望したのにと、至福を恨む心持ちになりました。

気配りが行き届いた店内は、自然の木の風合いもよろしく、どこにいても心から寛げる雰囲気。奧にはガラス越しに庭が見え隠れしていて、路地の奧に居ることを忘れさせる開放感もある。

打ち場の傍らに陣取って、朝っぱらから好みの酒をちびちびとやりながら、オーナーの蕎麦打ちを眺めるなんていいですねぇ。

こんどは車を捨てて歩いてこよう。徹夜明けに胃をなだめるスポットとしても、なかなか素敵かな。

  ■鷹匠
  7:30~9:30, 12:00~18:00
 (月・第1、3火曜休み)
  東京都文京区根津2-32-8
  03-5834-1239

  せいろ(二八) 900円
  深山(生粉打) 900円
  穴子そば   1,800円
  鴨せいろ   1,500円
  そばとろ   1,200円
  そばがき    700円から



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