ラストまで続く、一皿一皿への仕事
・フロマージュ
こちらもコースの中の一品。リコッタとトリュフを挟んだブリー・ド・モー、リンゴのサラダ、リンゴのマルマレードです。そう、今度はリンゴのデギュスタシオン。リンゴのサラダは、フレッシュなリンゴをヘーゼルナッツとバジルオイルで和えたもの。チーズに刺さっているチップスの穴の向こう側、リンゴのパウダーが見えるでしょうか。四つに変化を遂げたリンゴにチーズを少しずつ切って合わせる楽しみ。ワゴンのチーズも魅力的ですが、このようにシェフのクリエイションとしてチーズを楽しむのも良いですね。
・アヴァンデセール:グレープフルーツのジュレ、アーモンドのエスプーマ
さて、ここからはスイーツになります。グラスに対してギリギリのサイズのスプーン。ジュレの軽い手応えを楽しみながら差し込むと、しっかりとすくってくれます。タピオカのような、はじける食感が何とも愉快。ジュレとエスプーマは、単体としてはあっさりしすぎるほどの爽やかさと軽やかさで、「まだ料理は続きますよ」と伝えてきます。そう、それでこそアヴァンデセール。
・デセール:チョコレートのラヴィオリ アーモンドのアイスクリーム 温かいピスタチオのスープを添えて
そしてこちらがメインのデザート。スープ料理と同じく、こちらも目の前で温かいスープがかけられます。このスープと、冷たいアイスの温度差を楽しむ料理です。この温度差は、全体の軽さの中にしっかりとした甘さを感じさせる効果もあります。
珍しい黒いラヴィオリはチョコレートを練り込んだもので、中にもチョコレートが詰まっています。しなやかな歯ごたえの後、ラヴィオリの中で適温に保たれたチョコレートは素晴らしい風味を味わわせてくれます。
・コーヒー&プティフール
レストランらしく、プティフールで締め。ノワゼットのディアマン、ガナッシュ、フィナンシェです。最後まで一切の手抜かりなし。プティフールひとつにせよ、美しい皿を使ってくるところが、この店のレストランであろうという姿勢を示している気がします。
そうそう、パンについても触れておかねばならないでしょう。こちらのパンは吹田で人気の「ル・シュクレ・クール」のもの。両店のシェフは同級生&ご近所だそうで、たとえばコースのフロマージュに合わせるためのパンなども、「シュクレ」のシェフと密に打ち合わせしているそうです。写真の、通常出てくるプティ・パンも、天然酵母を使いながらも酸味が主張しすぎず、「アキュイール」の軽やかな料理とも合うおいしさです。
サービスをまとめるのは、ワインショップ出身のソムリエールであるマダム。皿を運ぶ、料理にスープをかけるなどの一つ一つの動作が折り目正しく、それでいて柔和な雰囲気を持つ笑顔も素敵です。料理とサービス、両方で「レストラン」を感じられる空間の登場は、フレンチファンも待ち望んでいたことでしょう。
料理の特徴を一言で表せば、「軽さ」と「おいしさ」の両立。途中からの方向性は違いますが、根元にあるこの二つのエッセンスを持った大阪のフレンチといえば、心斎橋で人気の「
リュミエール」。そういえば、店名の音と価格帯にも共通するものが…。
これからは「
キタのアキュイール、ミナミのリュミエール」として、大阪のレストランを牽引していくに違いないでしょう!
<店データ>
■「
アキュイール」
所在地:大阪市北区西天満4-1-20 Lee Plaza 1F
TEL: 06-6311-2558
定休日:月曜日
営業時間:11:30~14:00(ラストオーダー)
18:00~21:00(ラストオーダー)
交通・アクセス:地下鉄谷町線南森町駅・堺筋線北浜駅より徒歩10分
地図:
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HP:
アキュイール