喜 ~よろこび~(7,350円)
続いてご紹介するのは、高級中華ならではの素材や、福臨門酒家のスペシャリテも含んだコース「喜 ~よろこび~」です。こちらも内容は月替わりとなり、ご紹介しているのは7月のものです。・前菜4種盛り
4種の内、3種は先ほどの「楽 ~らく~」コースと同じですが、きゅうりが豚の炭火焼になっています。パリッと、というよりもむしろ「バリッと」と言うのが正確な表現でしょう、歯ごたえのある皮の下には、旨みのつまった肉が多層的に展開されています。
・ふかひれ入りスープ餃子
高級中華食材の代名詞とも言えるふかひれを使ったスープに、大きな餃子が浮かんで…というよりは、具の重みたっぷりで沈んでいます。そして、何といっても素晴らしいのは、このスープ。一口でも満足できそうな力強さがありながら、同時に最後まで食べ飽きない上品さを持ち合わせています。
姿煮にせよスープにせよ、フカヒレはこういった高級店で食べると気品ある味に驚かされます。本来、フカヒレという食材は下処理を施したあとは無味・無臭になります。言ってしまえば、フカヒレ自体は「おいしい食材」ではない。しかし、この味を主張しないことこそが、鶏や金華ハムなどでダシをとった上湯のおいしさを高める媒体となるのです。フカヒレの下処理と上湯づくりには、とてつもない時間と手間を必要とします。この手間を惜しまない作りこそが、フカヒレ料理のおいしさでもあり、それはやはり個人店のキャパシティではできないことだと思います。
・金鶏の姿揚げ (写真は2名分)
次のお料理は、こちらと北京ダックからのチョイスとなります。今回は「福臨門酒家」の肉のスペシャリテともいえるこちらを選びました。金鶏は、正確には龍崗鶏という鶏で、もともと中国・広東省の地鶏だったものを、福臨門がひな鳥を持ち込み、日本では各地の同店でしか味わえない鶏。
いわば、料理のための鶏 ― こう言うととても残酷なのですが、本当にそうではないかというくらい、素晴らしい食材です。薄めのパリッとした皮の下には、肉のひと筋ひと筋にまで肉汁が詰まっているかのようなジューシーな肉。ぶつ切りにされた肉を豪快にいただくのがエキサイティング。なお、お皿には鶏の頭も乗っています。特に女性に多いと思いますが、苦手な方は、あらかじめサービスの方に言っておきましょう。
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