オーソドックスだからこその安心感
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オーソドックスな組み合わせに、基本をしっかり守った火加減。シェフの技術と真面目な人柄が伝わってくるような丁寧な料理。 |
肉は鴨のロースト。こちらはややしっかりめに火を入れてあり、うまみをギュッと中に閉じ込めています。最近は肉に限らず、ミ・キュイと呼ばれる半生未満の火入れや瞬間燻製などが多いのですが、こちらではあえてオーソドックスにビアン・キュイ(英語でいうウェルダンですね)で。しかし、やや弾力のある肉を噛んだとき、まるでフォンダンショコラにナイフを入れたときのように肉汁が溢れるのです。ソースはオーソドックスなブラウンソース、付け合せはアスパラと、基本的な取り合わせではありますが、食べ慣れた取り合わせだけに、そこに秘められた技術の高さがうかがえるものでした。
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人気のクリームカラメル。スープの上に浮いている様子はとても優雅。 |
デザートは関西ローカルの人気TV番組「ちちんぷいぷい」でも取り上げられた、クレームカラメル “パトゥ風”です。キャラメル味で、苦めのスープに甘いプリンが浮いています。プリンは底(写真手前)がパンプリンになっていて、ふにゅっとした面白い食感。口に運んでみると、プリンの甘味をキャラメルスープの苦味が引き立てています。おしるこに入れるひとつまみの塩のようなものですね。味のコントラストをつけることによって、より甘味を際立たせる手法です。
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ハーブティーにはフレッシュハーブが一切れ。鮮やかな緑色がとても映えます。 |
最後にヴェルヴェーヌのハーブティーです。面白いのが、フレッシュハーブが一切れ浮いていること。ほんの飾りなのですが、彩りも美しくなりますし、より香り高くなったような気がします。これは、素敵なマダムがいらっしゃるゆえのセンスの良さでしょうね。
料理は人を表す
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料理の皿はもちろん、最初からテーブルに置かれているショウプレート(位置皿)も真っ白です。 |
フランスの著名な美食家、ブリア・サヴァランは「君が何を食べているのか言ってみたまえ、君の性格を当ててやろう」と言いました。しかし、この言葉はむしろ作る側により強く当てはまるのではないでしょうか。その人が作る料理を見れば、人がわかります。こちらのシェフは丁寧な料理を作る、とても真面目な方。
東京の名店、「コート・ドール」などで修行したシェフが使うのは、ウェッジウッドの真っ白なお皿のみという潔さ。そこに丁寧でまっとうな料理を乗せます。潔さと丁寧さ、これらを合わせた真面目なシェフの性格が料理にも出ているのでしょう。ほかのレストランの方も、こちらのシェフを「とても真面目な方」と言っておられます。この真面目さ、まっとうさ、最近では少なくなりました。今回の料理はお昼のコースということもあるのですが、派手さやひねりには欠けます。それでいて、普通以上においしいのが、ココのすごさではないかと思います。「真っ当で普通以上においしいもの」を食べたいときにぜひ行きたいレストランです。
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お店の外観です。派手さこそなく、小ぢんまりとしていますが、中は意外に広くてゆったり。 |
<店データ>
■「パトゥ(Patous)」
所在地:神戸市中央区中山手通3丁目5‐10サンシャイン中山手1F
TEL:078‐392‐8216
定休日:火曜日
営業時間:11:30~14:00
18:00~21:00
交通・アクセス:各線元町駅から徒歩7分
地図:
Yahoo!地図情報HP:
パトゥ近くのお店:「
ルセット(神戸 三宮・フレンチ)」