ゆったりとした空間のレストラン

店内は席間もゆったり取られていて、とても快適です。
店内は席間もゆったり取られていて、とても快適です。
全国でもトップクラスのフレンチ充実度を誇る神戸の街。前回はクリスマスに向けての神戸フレンチシリーズとして、「ルセット」をご紹介しました。

今回は、2005年にお店を移転し、ますますレストランとしての風格を増した「パトゥ」です。小ぢんまりしたフレンチレストランの多い神戸では珍しく、ウェイティングスペースがあり、席間も広くてゆったり。落ち着いた内装と共に、とても上品なレストランに仕上がっています。

お料理は、お昼のコースが3,500円と4,500円。前者はアミューズ・前菜・スープ・メイン・デザート。4,500円になると、スープが魚料理に変わります。また、お昼でもアラカルトのオーダーは可能です。今回は4,500円のコースでお願いしました。

丁寧さと真面目さを兼ね備えた料理

自然な苦味と甘さがうまく絡み合う、野菜のマリネ
まずはアミューズに、野菜のマリネをいただきます。程よい酸味も良いですが、個人的なおすすめポイントは野菜の苦味。野菜のおいしさを表現する言葉というと「甘い」がよく使われますが、無理に糖度を高めた甘さ一辺倒のものも多く、僕としては不自然さを感じることがあります。その点、このマリネは、野菜本来の苦味があるために、甘さが際立って感じられるのです。

定番の前菜、タブレットのサラダ。とろみが甘エビをの味をより強く。
定番の前菜、タブレットのサラダ。とろみが甘エビをの味をより強く。
前菜はこちらの定番とも言える、タブレットのサラダ。甘エビ、ホタテ、アオリイカ、毛ガニ、ウニなど、季節の魚介と、クスクスを合わせたものです。イカやホタテは表面に薄く火を入れてあります。甘エビのとろりとした食感が、甘味をより強調し、幸せな気分に。そこにクスクスのプチプチとした食感がアクセントを添え、料理全体に深みとコントラストを与えています。周囲のソースはパセリソースとスパイシーなもの。2種類のソースがかかっていますが、それがいらないくらいの甘エビの旨さ、濃厚さ。彩りも美しく、味も満足の一品でした。

魚のおいしさが際立ちすぎてしまった感がありますが、おいしいものはおいしいのです。
魚のおいしさが際立ちすぎてしまった感がありますが、おいしいものはおいしいのです。
メインの魚料理は、イサキのポワレと茄子 赤ピーマンのソース。魚の焼き具合がパーフェクト。パリッとした食感に、ほくほくの身。一見しただけでは地味な一皿ですが、料理の丁寧さから、シェフの真摯な姿勢が伝わってきます。ここに茄子が加わることで、味が丸みを帯びてうまく調和しています。ただ、赤ピーマンのソースはちょっとあっさりめ。丁寧に裏ごしされたソースは、それだけで食べたときはとても甘味があっておいしいのですが、魚と一緒に食べると、どうしても負けてしまうのです。イサキには、上に岩塩がかけられていますし、身自体のうまみも十分。このソースもおいしいのですが、魚の素材や焼き加減が良すぎたために、全体を味わえなかったのが、少しもったいない気がします。

次ページでは、シェフの真面目な性格が垣間見える、素晴らしい料理をご紹介します。