ハンガリーのテロワールを味わう
肉の部分の色がピンク色から白になるまで焼いて塩を振った、シンプルな調理でロース、肩ロース、バラと異なる部位を順に試食した。ジューシーな肉質、そして脂身のぷりぷりした食感。そして特筆すべきは、口の中でさらりとほぐれるような柔らかい肉質である。豚肉とはこんなに柔らかなものであったか、と思わせる。また脂身から出る脂の香りがよく、臭みやべたつきがないことにも驚いた。例えて言えばクルミなどナッツを圧搾した油のように、適度にコクがある風味ですべすべした食感の脂だ。ピック日本事務所代表のパラノビチ・ノルバート氏が「イベリコ豚と同じように、含まれている脂肪酸の中で不飽和脂肪酸とくにオリーヴ油の主成分であるオレイン酸の含有率が高い。脂肪の融点(固体から液体になる温度)が低いので、口の中ですっと溶けるのです」と解説する。家畜の肉の風味は常食する餌に影響を受けるから、マンガリッツァの脂が一般の豚の脂と全く違う性質をもつのは、トート氏が述べたようにヒマワリの種などをたっぷり食べ、ハンガリーの気候風土で育つからだろう。ワインがブドウ畑の土壌や気候を反映するのと同じことである。
ピック サラミ ハンガリー 日本事務所代表のパラノビチ・ノルバート氏(左)と取締役で輸出担当のナジジョール・アルパード氏 |
ではマンガリッツァのワインとの相性はどうだろう?