ワイン/ワインが際立つ飲み方と料理

ハンガリーの至宝マンガリッツァとワイン(3ページ目)

ハンガリーに、この特別な豚がいた! 生産者に話を聞くと共に実際に試食して、ハンガリーワインとの相性もチェックした。

執筆者:橋本 伸彦

ハンガリーのテロワールを味わう

肉の部分の色がピンク色から白になるまで焼いて塩を振った、シンプルな調理でロース、肩ロース、バラと異なる部位を順に試食した。ジューシーな肉質、そして脂身のぷりぷりした食感。そして特筆すべきは、口の中でさらりとほぐれるような柔らかい肉質である。豚肉とはこんなに柔らかなものであったか、と思わせる。また脂身から出る脂の香りがよく、臭みやべたつきがないことにも驚いた。例えて言えばクルミなどナッツを圧搾した油のように、適度にコクがある風味ですべすべした食感の脂だ。

マンガリッツァのロース部分。脂身が白く、肉が程よく霜降り状になっている

ピック日本事務所代表のパラノビチ・ノルバート氏が「イベリコ豚と同じように、含まれている脂肪酸の中で不飽和脂肪酸とくにオリーヴ油の主成分であるオレイン酸の含有率が高い。脂肪の融点(固体から液体になる温度)が低いので、口の中ですっと溶けるのです」と解説する。家畜の肉の風味は常食する餌に影響を受けるから、マンガリッツァの脂が一般の豚の脂と全く違う性質をもつのは、トート氏が述べたようにヒマワリの種などをたっぷり食べ、ハンガリーの気候風土で育つからだろう。ワインがブドウ畑の土壌や気候を反映するのと同じことである。

ピック サラミ ハンガリー 日本事務所代表のパラノビチ・ノルバート氏(左)と取締役で輸出担当のナジジョール・アルパード氏
ピック本社で輸出を担当するナジジョール・アルパード氏は「サラミが本業のわが社がマンガリッツァの精肉を扱うようになったのは、その高い品質に惚れ込んだから。一般の豚が1日平均1kg育つのに対してマンガリッツァはその約3分の1と、生育が遅い。仔豚が生まれてから12~14ヶ月かけて、体重145kgほどに仕上げます。多額の投資と5年間の時間を費して、やっとコンスタントな量を輸出できるようになりました。日本への輸出は毎年100t程度で、我々にとって重要な市場」と語る。

ではマンガリッツァのワインとの相性はどうだろう?

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