ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ブルゴーニュ最前線:ジャスパー・モリス(3ページ目)

英国のワイン商BBRが擁するマスター・オブ・ワインでブルゴーニュワインの専門家ジャスパー・モリス氏が来日し、ブルゴーニュの現状を説き、新進生産者を紹介する。

執筆者:橋本 伸彦

赤ワインも個性豊か


シャンボール・ミュジニ1級畑レ・ラヴロット2007年(オリヴィエ・バーンスタイン)
再びバーンスタイン、今度は赤である。シャンボール・ミュジニ1級畑レ・ラヴロット2007年(12443円)。「よく飲食店でシャンボールはなかなか売れないと言いますが、売れて然るべきです。レ・ラヴロットという畑はとても細かく分割所有されていて、この畑名で瓶詰めしているのはバーンスタインだけかもしれない程。味わいのスケールは小さめですが、ピュアでエレガントで重みも充分ある」とモリス氏は評す。柔かくなめらかな果実味があり、ふくよかなスタイルで余韻も長い。


特級畑クロ・ド・ヴージョ2005年(シルヴァン・ロワシェ)
シルヴァン・ロワシェの赤ワイン、特級畑クロ・ド・ヴージョ2005年(12600円)が次のワイン。深く紫がかった色合い、プラムやプルーンのような味わいは上品かつ活き活きしている。余韻は堂々と長く、この畑らしいほろ苦く土っぽいニュアンスがある。

「ブドウはすべて除梗して、4~5週間以上と長い浸漬の間、ピジャージュ(果皮など浮かんだ固形物を突き崩して抽出を促す作業)はしません。古樽で3年熟成させたオールドスタイルですが、新しくリリースされたワイン。まだ若いですね」とモリス氏。

最後の赤は、カミーユ・ジルー所有者交代前のワイン。ヴォルネイ1級畑カレル1998年(6150円)で、スモーキーさやレザーのような動物的な要素を含む熟成感がある。モリス氏が「いま素晴らしい状態に熟成している」というようにいい状態で年輪を重ねており、同生産者の現在の造りを示す3本目の白と比べると以前のカミーユ・ジルーの素朴さがあるようだ。

また試飲後に明かされたのは、コント・ラフォンのドミニク・ラフォン氏が造る別ブランドのワインを間もなくBBRが扱うというニュース。2008年ヴィンテージのムルソー、ピュリニ・モンラッシェ1級畑シャンガン、ヴォルネイなどを予定しているという。

ブルゴーニュワインはどれを買ったらいいのかという命題に答えを見つける道筋は複雑なことこの上ないが、この産地から値打ちどころを見つけるには、モリス氏ほど心強い案内役はそういないだろう。

* 本文中、価格はすべて税込希望小売価格、写真はすべてBBR提供

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます