ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ブルゴーニュ最前線:ジャスパー・モリス(2ページ目)

英国のワイン商BBRが擁するマスター・オブ・ワインでブルゴーニュワインの専門家ジャスパー・モリス氏が来日し、ブルゴーニュの現状を説き、新進生産者を紹介する。

執筆者:橋本 伸彦

新進生産者の白ワインを試飲


ムルソー1級畑レ・シャルム2007年(オリヴィエ・バーンスタイン)
まずは、白ワイン。オリヴィエ・バーンスタインのムルソー1級畑レ・シャルム2007年(13230円)が注がれる。新樽のみで熟成しているが、穏やかな樽香とミネラル的な芳香がさらりと調和している。音楽出版業界から転身した弱冠32歳のオリヴィエ・バーンスタインが、1級・特級畑で栽培される高樹齢のブドウを買い入れて醸造した初ヴィンテージ。

バーンスタインは2002年に短期間、アンリ・ジャイエと一緒に仕事をしたのち南仏ルーション地方で自らのドメーヌを興して成功を収め、2007年からブルゴーニュでネゴシアンを始めた生産者である。「不況で栽培家とのブドウ買い入れ契約を打ち切った生産者がいたので、彼が新規参入するチャンスがあった」とモリス氏。

次にラドワ村の白。石灰岩の採石事業を行っていたロワシェ家が所有してきた畑のブドウを使い、25歳のシルヴァン・ロワシェが造る『ボワ・デ・グレション』の2006年(5600円)である。モリス氏が「まるでライチのような、エキゾチックでリッチな味わいがあります。始まりからアルザスかコンドリューのような印象、そして終わりにかけてブルゴーニュらしい明確さがある」という通り、ソフトでアロマティックな果実味が豊かである。

シャサーニュ・モンラッシェ1級畑レ・ヴェルジェ2006年(カミーユ・ジルー)
3本目はカミーユ・ジルーのシャサーニュ・モンラッシェ1級畑レ・ヴェルジェ2006年(13230円)。1865年にカミーユ・ジルーが設立した生産者だが、2002年にアメリカ人所有に替わってドメーヌ・デ・クロワのダヴィッド・クロワがテクニカル・ディレクターになり、長期熟成型の素朴なワインから洗練を遂げた。

ミネラル感やスモーキーさがほんのり香るワインを口に含めば、酸味は充分でレモンの皮とその白い部分のような爽やかな芳香とほろ苦さがある。


* 本文中、価格はすべて税込希望小売価格、写真はすべてBBR提供

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