ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

「世界最高の畑」:ボデガ・コロメ

「われわれの畑はまず間違いなく世界でも最高」――そう言い切る生産者。そこではブドウの樹の育ち方がまるで違うという。その畑では、いったい何が起こっているのか?!

執筆者:橋本 伸彦

アルゼンチン最古のワイナリー


ナパ・ヴァレーのヘス・コレクションというワイナリーで知られるドナルド・ヘス氏が2001年に買収したのは、1831年設立でアルゼンチン最古のワイナリー『ボデガ・コロメ』である。1854年にマルベックそしてカベルネ・ソーヴィニョンという2つのブドウ品種を植えたというのも早かったが、その年に植えた樹がまだ実を成らせているというのだから驚く。

『マルベック・エステート』のボトルとマルセロ・マンギ氏

アルゼンチンのワイン生産地は、広大な平地や丘陵からアンデス山脈に向かって傾斜が広がる。近年注目されているのは、降雨量が非常に少なく(雨がほとんど降らないといってよい)その上気温が低めという、アンデス寄りの標高の高い土地の畑である。主に標高1700~2500メートルというから、海辺より10~15度は気温が低いだろう。内陸だから昼は暑くなるが夜は寒くなって、フレッシュな風味のブドウが取れるはずだ。

世界最高の標高


そしてコロメが実験的に拡大している畑はなんと、標高3000メートル以上の場所にある。コロメの輸出を担当するマンギ氏は「いちばん高い所では標高3200メートルを越える。おそらく世界中でも類を見ない、最も標高が高い畑だろう」と言う。まさに、標高でいえば「世界最高の畑」ということになろうか! 標高によって植え分けられた品種はほかに、プティ・ヴェルド、シラー、テンプラニーリョそしてピノ・ノワールまである。

Amalaya de Colome Red 2006アマラヤ・デ・コロメ・レッド 2006年
標高が高いというだけでは自慢にならないが、マルベックを半分以上とカベルネ・ソーヴィニョン、シラー、タナ、ボナルダといった品種をブレンドする『アマラヤ』を飲んでみると、パンチがありながらなめらかな飲み口はバランスよく出来ており、好印象を持つ。アルゼンチンワインによくあるどろりと重い感じではない。

また、マルベックを85%以上にカベルネ・ソーヴィニョン、タナをブレンドした『マルベック・エステート』というワインはガッチリと黒く、濃く、深い味わいである。酸味も充分あるのでキレはいいし、よく熟したブドウの渋味は相当なめらかである。フランス産オークの香りが調和している。

そして特筆すべきなのは白ワイン。アルゼンチンを代表する白ブドウ品種トロンテスを使っているのだが、この品種にありがちな独特の青っぽいクセが感じられない! よく熟していながら清冽で、花や熟した白い果実のような風味もしっかりある。よく冷やして飲めば、標高の高いワイナリーの清々しさが存分に味わえるだろう。

ここのワインを飲まずしてアルゼンチンを語るなかれ、と言いたい。


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