オーストラリアを代表する貴腐ワイン
ノーブル・ワンといえば、数多くのワイン・コンテストでメダルやトロフィーを獲得し続けておりオーストラリアではもう押しも押されぬ大御所ワインである。また英国などヨーロッパでの知名度も高く、世界の貴腐ワインというような場合によく話題にのぼるワイン通のワインである。セミヨンという品種が最も得意とする貴腐ワインで、ソーテルヌを圧倒するような甘美な風味を体現しているのだから無理もない。
このワインの初ヴィンテージは1982年で、現行の2007年まで26年。そのうち1989年だけは雨が多かったため生産されなかったので、ヴィンテージを数えれば25回目ということになる。25周年を記念して、社長でノーブル・ワンを手がける醸造家でもあるダレン・デ・ボルトリ氏が来日して試飲会そしてディナーを開催した。
試飲に供されたのは、ノーブル・ワンの1982・84・85・91・95年、2002・04・07年。2004・07年の間には大胆にも、ソーテルヌの非常にいいヴィンテージである2001年、ディケム、スュデュイロー、リューセック、ギローの4シャトーが注がれた。古酒のノーブル・ワンは新樽のみで熟成させ全般に濃厚でパワフルだが、2000年からは新樽と1・2・3年樽を併用するようになるなどさらにブドウそのものの風味をクリアに表現するようにスタイルが移行している。溢れるような熟した果実味のノーブル・ワンと比較すると、ソーテルヌはまだ若いということもあり、全般にスリムで樽香が際立って感じられる。
デ・ボルトリ社は、ノーブル・ワンに代表されるプレミアムワインからデイリーまで、幅広い品揃えでオーストラリアの中でも屈指の生産者である。近年まれなことだが、生産規模が拡大していく中でもプレミアムワインの品質を落とさず、市場に求められる味わいにシフトしながらさらに進化を遂げているのである。