世界の茶生産は着実に増加
茶の生産は、長期的には着実に増加してきています。2005年も、2004年と比べて3%以上増加し、過去最高の約350万トンとなりました。注目すべき動きとしては、中国がインドを抜き最大の生産国となったことです。中国の生産高は約93万5千トン。1990年代後半に採用された生産・輸出振興政策が契機となり、生産面積の拡大ではなく、効率の改善により前年比9%増もの成長を達成しています。インドは、92万8千トンでした。
お茶を生産する先進国日本
生産国は、開発途上国がほとんどで、先進国による生産はわずか11万9千トンでした。そのうち日本が10万トンと、ほとんどを生産していました。
消費も拡大
茶の消費も生産と歩調をあわせて増加しています。過去10年で、年平均2.25%増加し、2005年に約336万2千トンとなりました。
最大の消費国はインドで、2005年には75万7千トンを消費しています。第2位の中国も67万5千トンを消費しました。ちなみに第3位はずいぶん差がつきますが、ロシアで、18万トンでした。インド、中国、ロシアの消費だけでも世界茶消費の半分近く、約48%にも達します。
第4位は日本で15万トン。英国は第6位で12万8千トン。
今後の動向
紅茶については、世界的に見て過去10年は年率2.3%で生産が増加してきましたが、2005年から10年間は、年率1.8%程度にややテンポが遅くなると予想されています。
ケニアでの茶生産は2016年までに年に1.7%ぐらいのペースで増加し、ケニアのほかにも、アフリカではマラウィ、ウガンダ、タンザニアも紅茶の生産が成長すると予想されています。
アジアでは2016年までにインドやスリランカではそれぞれ1.6%、1.8%の紅茶の生産増加が見込まれています。世界の緑茶市場をひっぱっている中国は2005年までの10年間で紅茶の生産は平均2.9%の伸びを示し、2016年までには平均2%で増加すると予想されます。ここのところ急速に紅茶の生産を伸ばしているのはヴェトナムで、今後の生産の大幅な増加も予想されています。
緑茶も同様に、過去2.5%から今後10年は2%に鈍化する見通しとなっています。なお、中期的にも生産のほうが消費を上回りがちで、価格が低く推移しかねないと懸念しています。
世界的な紅茶の消費は2016年まではこれまでよりは鈍化するものの消費の拡大が見込まれています。商品の拡大が続くと見込まれる理由は紅茶生産国での消費が拡大すると予想されるからです。
日本についても、紅茶の消費見通しが記載されています。2005年までの過去10年間、日本の紅茶の消費は年率4%程度と大きく減少しましたが、今後10年間は、年率2%程度増加すると見通されています。
資料:FAO「CURRENT MARKET SITUATION AND MEDIUM TERM OUTLOOK」より