いくつものお茶室設計に携わり、ご自身もお茶を嗜まれる2人の建築家により住宅設計の際のお茶室の設け方のみならず、お茶を日常生活にどのように取り込んでいくかについても建築事例を基にお話してくださいました。
建築家の高山氏はまず、お茶を楽しむこととは何かについてこう語られます。
「Japan Styleと呼ばれる“和”が世界的に、特に建築・インテリアの世界で、ブームであり、茶道も脚光を浴びているひとつ。しかし、茶道には堅苦しいというイメージをもつひとも少なくないのだが、面倒なプロセスの中にも合理的で現代的な教えが含まれているのだと思います。例えば、お茶席で相手に対して“お先に”といいますが、こういった言葉を日常生活に用いるだけでも人間関係が円滑になる。さらに、茶道のお手前から習うべきことは道具を丁寧に扱うということ。友人宅やレストランなどでも食器を両手で大切に扱う。
茶道からは、こういった人と人が気持ちを通わせること、物を大切にする心を持つこと、そしてお茶の時間を持つということは自分を見つめなおすということだと思います。」
では2人の建築家はどういった形でクライアントの希望に沿って茶室を設計されているのでしょうか?家族構成、土地の広さ、すでにある住宅内での改装など、現代的環境の中で茶室を設けるための十分なスペースがない場合がほとんどでしょう。4畳半の茶室を設けることができても茶室へのアプローチ、つまり露地や水屋といった茶事に必要な環境の作り方には建築家による創意工夫がみられます。