伝統と人気のBlue & White
1916年ミントン社製 ティーカップはバケットシェイプという珍しいもの 写真提供:リージェント・コレクション |
海外のものを例に挙げるならば、有名なのはロイヤルコペンハーゲンのブルーフルーテッドシリーズ、マイセンのブルーオニオン、スポードのブルーイタリアンなどがあります。
1枚の皿に込められたラブストーリー
今回、ここではイギリスの陶磁器のなかで、Blue & Whiteに用いられた人気の模様、「ウィローパターン」についてご紹介しましょう。willowとは柳のことで、19世紀初期のイギリスの皿にはウィローパターンがよく取り入れられていました。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館のブリティッシュ・ギャラリーにも中国・インド風の影響を強く受けた柄として柳模様が10種類近く展示されています。柳のほかに二羽の鳥、橋、楼閣、小舟が描かれるのが特徴です。
写真から橋の上を逃げる二人と父の姿が描かれる 写真提供:リージェント・コレクション |
コンセーはお金持ちの中国人の美しい娘、チャンはコンセーの父の秘書でした。二人は互いに愛し合ってはいたものの、それを知った父は激怒してチャンを解雇してしまいます。父は娘をタージンという裕福な公爵と婚約させてしまっただけでなく、チャンを娘に会わせないために家の周りにフェンスを張り巡らしました。コンセーは庭と茶室に行くことのみ許されました。2階建ての家の裏にオレンジの木があり、また、柳がたれさがっているのが見えます。小川が家と茶室を分け隔てるようにして流れ、チャンは愛のメッセージをココナッツの殻に入れて小川に流した。
ある晩のことコンセーは初めてフィアンセに会ったとき、そのフィアンセは彼女に宝石箱を渡しました。チャンはみすぼらしい格好をしてそっとその宴会に忍び込み、コンセーに逃げるようにと合図を送ります。
ウィローパターンが描かれた皿には、橋を駆けている3人の姿が見られます。純潔を示す糸巻き棒を持つコンセー、宝石箱を持つチャン、鞭を振るのが父の姿です。チャンはコンセーを茶室に隠し、ボートを取りに行った。父の護衛が2人を捕らえる寸前に、逃げることができました。2人は漂流した島で家を建てて生活を始めたということが、皿の左上に描かれています。後に、チャンは有名な作家になりましたが、その名声のためにタージンの兵士により殺された。それを知り、コンセーは命を自ら絶ちます。2つのかわいそうな魂は不滅や永遠を表すハトへと変わり皿の上に描かれているのです。
皿によって橋が描かれていないもの、フェンスのないものもあります。ウィローパターンを見つけた際はこの物語を思い出して、皿を眺めてみてください。名画を見るような気分を味わえるかもしれません。
安定した人気のあるブルー&ホワイトの陶磁器は、価格的にもデザイン的にも使いやすいため、紅茶用としてだけでなく、あらゆる食事シーンで活躍することに違いありません。ブルー&ホワイトは真っ白ほどシンプルすぎず、カラフル食器ほどでしゃばりすぎず、紅茶やお菓子にほどよい華やかさを添える食器です。
【ウィローパターンやその他の陶磁器を購入できるサイト】
リージェント・コレクション
記事でご紹介している写真の提供もしていただいております。他のブルー&ホワイトの素敵なコレクションもこちらで購入できます。
吉川陶器店
これらサイトでウィローパターンの皿やティーカップ等が販売されていますが、すでに売り切れ等で掲載から外れる場合もあります。ご了承ください。