5年目のリニューアル
横浜の大倉山にあるTOTSZEN BAKER'S KITCHEN (トツゼンベーカーズキッチン)といえば、5年前のオープン当初は スタイリッシュなホテルのような雰囲気が話題となったパン屋さんでしたが、 2010年の今年、5周年を迎える少し前に変化がありました。スタッフが黒服を脱ぎ、対面販売がセルフサービスになり、 パンの質はそのままにお財布にちょっと優しくなって、菓子パンや惣菜パンなどの種類が増えたのです。
セルフサービスとなった店内。右の壁側にもパンが並ぶ |
敷居の高い店も次々カジュアルダウンするこのご時勢、 TOTSZEN BAKER'S KITCHENも?と思いきや、そうでもなさそう…… というのは、オーナーの岸本拓也さんには「ブランドを確立した上で、それを良い意味で崩す」という計画が最初からあったからです。 TOTSZEN BAKER'S KITCHENという店を、10年後も続けていくために。
TOTSZEN BAKER'S KITCHENのパン
取材に伺った週末は、たくさんのお客さまが来店した後だったようで品薄の状態でしたが、奥のオープンキッチンからは次々に焼きたてが運ばれました。焼きたての要望がとても多かったので、それを叶えるべく、リニューアル後は工程管理に力を入れたのだそうです。ミニメロンパン(90円) |
春野菜物語(290円)、ビーフカレーパン(160円) | ハーブソーセージドッグサンド(220円) |
ミルククリーム(160円) | ミルヒブロート(320円) |
セルフサービスとなって増えたパン棚には、子供用のトレイまでが用意されていました。かわいいサイズのミニメロンパンは、価格もかわいい。このほか、一番人気の、こくのあるビーフカレーパン、季節限定の惣菜パン、懐かしい感じの菓子パン、牛乳で仕込んだ新商品ミルヒブロートなどが、あれこれ並んでいました。
やわらか系のパンが目立ちますが、シェフブーランジェ内山芳雄さんの感性で焼かれるハード系食事パンも健在です。新商品は4種類のドライフルーツとカシューナッツのリュスティック、ジェニーフリュイ。ハーフサイズから買えます。わたしのおすすめは火・金曜限定の田舎パン、パン ド ロデヴです。生地はみずみずしくもちもち。おいしいバターで味わいたいパンです。
パン ド ロデヴ(600円)は火・金曜限定 |
ジェニーフリュイ(280円) | ベルリーナラントブロート(600円) |
パンまわりの食材の総合百貨店を目指す
リニューアルでもう一つ変わったのは、店の前にデッキテラスが新設されたことです。ここで、コーヒーをのみながらパンを食べることもできます。「先日、渡仏した時に見た、会社帰りの人たちが、ブラッスリーやバールで一杯のコーヒーを楽しむ姿がとても美しかったのです」と岸本さんは言います。彼はいつも、おいしかった、うれしかった、すてきだった、楽しかった……と、心動かされた事象をこの店でお客さんにも味わってもらおうと、力を尽くしています。 だからこのサービスコーヒーも近くのロースターさんから仕入れていて、タダながらタダモノではないのです。
新設されたデッキテラス。おいしいコーヒーと焼きたてのパンを楽しめる |
岸本拓也さん、内山芳雄さん | ジャムやペーストは独自のセレクト |
TOTSZEN BAKER'S KITCHENの商品棚には、パンと合わせる食材が増えつつあり、今は宮城県のパン屋さん「パレット」自家製のずんだジャム(840円)、北海道のブロッコリやトウモロコシを使ったベジタブルディップ(750円)、フィリピン産マンゴー果肉の果汁漬け(735円)やオリーブオイル、コーヒーなどが一角を占めていますが、今後はワインのラインナップを大倉山一にする計画もあります。
また、作る楽しみも提案すべく、家庭製パン用のTOTSZENオリジナル配合の粉“イケメンミックス”シリーズ(15種類)も8月末には発売の予定です。 TOTSZEN BAKER'S KITCHENはパンを中心に、さまざまな感動を提案できる、総合百貨店を目指すのだそうです。
「トツゼン、帰り道が楽しくなる」と岸本さんは言いました。
5年前、店を始めるとき、そういう気持ちになってもらえるようにと名づけたTOTSZEN BAKER'S KITCHENは今、当時より多くの人の帰り道を楽しくしている店に相違ないのです。
所在地:横浜市港北区大倉山2-1-11
電話:045-548-0568
営業時間:7:00~19:00 無休
東急東横線大倉山駅徒歩1分
地図:Yahoo!地図情報
【公式サイト】
TOTSZEN BAKER'S KITCHEN