パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

麦兵衛~粉の味わいを生かすパン屋さん(2ページ目)

粉の香りと味わいを大切にすることではピッツァもハード系のパンも同じというピッツァ職人出身の阿部淳さんが所沢に店をオープン。丁寧につくられた小ぶりのパンと地元素材を生かしたバリエーションが楽しめます。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

地元の素材をパンに生かしたい

和を感じさせる店構えに和の店名。和風のパンをつくろうと特に意識しているわけではないけれど、「地元ならではの特性のある有機野菜を、それにふさわしい使い方でパンにしてみたいですね」という阿部さん。現在は新作、小松菜入りのチャバタが人気なのだそう。

「芋っこ」は取材時に並んでいた、季節限定のパンです。ねっとりとしたサトイモと、醤油の香りがなんだかほうじ茶と合いそう。お茶といえば狭山の抹茶を取り寄せてつくる「さやまっ茶クロワッサン」は中身が緑色。サクリとかじれば混じり気のないお茶の香りが仄かにたちます。 「あんこ棒」は粒餡入りのフランスパン。これも陳列時間の短い、人気のパンでした。

芋っこ(160円)
さやまっ茶クロワッサン(150円)あんこ棒(200円)
取材中の、一番人気と見受けられたのは「豆乳メロンパン」でした。なぜ豆乳?このパンはかつて、阿部さんが働いていた「箱根ベーカリー」が所属するホテルからの依頼で考案されたのだそうです。そのときからの阿部さんの自信作なのです。

「じゃがモチ」はジャガイモを練り込んだ生地にグリエールチーズをのせて焼いたモチモチしたパン。厨房ではスタッフの方がチーズのかたまりを削っていました。阿部さんは北海道のチーズの工房を訪れたりなど、パンに使うチーズについて、いろいろ研究されています。

豆乳メロンパン(140円)じゃがモチ(180円)
エピ(200円)
シナモンロール(130円)レーズンパン(100円)

生活に密着した、さまざまな声を受けとめる

「ピッツェリアより客層の広い、パン屋にしてよかった」と阿部さんは言いますが、独立してからはお客さまの声がダイレクトに伝わってきます。「同じパンに“すごくおいしい”という反応と“しょっぱい”という反応があって、リアルな生活に密着した声を聞くことができるので、なるほど!とやりがいがあります。小学生が一人でパンを買いに来てくれるなんていうのも、うれしいですね」

既にお馴染みのお客さまは容赦なく「わたしはイチジクが好きだから、イチジクのパンを早くつくって」などと注文をつけていきます。大忙しの厨房から出てきて笑顔で対応する阿部さんは、でも、実に楽しそうです。

オープン間もない麦兵衛を取材して、パンのひとつひとつに目を配り、無理なく頑張っておられる阿部さんの様子を、誠実だと感じました。シンプルなパンが好きなわたしは、今の品数でちょうどいいくらいですが、阿部さんには新作の計画がいろいろありそうです。これからが楽しみなお店です。

設計施工 有限会社東匠■麦兵衛

所在地:埼玉県所沢市小手指町1-27-16エスパスィオ101

TEL:04-2902-6455

営業時間:9:00 ~ 19:00
日・月曜定休

小手指駅徒歩7分 
地図:Yahoo!地図情報

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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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