地元の素材をパンに生かしたい
和を感じさせる店構えに和の店名。和風のパンをつくろうと特に意識しているわけではないけれど、「地元ならではの特性のある有機野菜を、それにふさわしい使い方でパンにしてみたいですね」という阿部さん。現在は新作、小松菜入りのチャバタが人気なのだそう。「芋っこ」は取材時に並んでいた、季節限定のパンです。ねっとりとしたサトイモと、醤油の香りがなんだかほうじ茶と合いそう。お茶といえば狭山の抹茶を取り寄せてつくる「さやまっ茶クロワッサン」は中身が緑色。サクリとかじれば混じり気のないお茶の香りが仄かにたちます。 「あんこ棒」は粒餡入りのフランスパン。これも陳列時間の短い、人気のパンでした。
芋っこ(160円) |
取材中の、一番人気と見受けられたのは「豆乳メロンパン」でした。なぜ豆乳?このパンはかつて、阿部さんが働いていた「箱根ベーカリー」が所属するホテルからの依頼で考案されたのだそうです。そのときからの阿部さんの自信作なのです。
「じゃがモチ」はジャガイモを練り込んだ生地にグリエールチーズをのせて焼いたモチモチしたパン。厨房ではスタッフの方がチーズのかたまりを削っていました。阿部さんは北海道のチーズの工房を訪れたりなど、パンに使うチーズについて、いろいろ研究されています。
エピ(200円) |
生活に密着した、さまざまな声を受けとめる
「ピッツェリアより客層の広い、パン屋にしてよかった」と阿部さんは言いますが、独立してからはお客さまの声がダイレクトに伝わってきます。「同じパンに“すごくおいしい”という反応と“しょっぱい”という反応があって、リアルな生活に密着した声を聞くことができるので、なるほど!とやりがいがあります。小学生が一人でパンを買いに来てくれるなんていうのも、うれしいですね」既にお馴染みのお客さまは容赦なく「わたしはイチジクが好きだから、イチジクのパンを早くつくって」などと注文をつけていきます。大忙しの厨房から出てきて笑顔で対応する阿部さんは、でも、実に楽しそうです。
オープン間もない麦兵衛を取材して、パンのひとつひとつに目を配り、無理なく頑張っておられる阿部さんの様子を、誠実だと感じました。シンプルなパンが好きなわたしは、今の品数でちょうどいいくらいですが、阿部さんには新作の計画がいろいろありそうです。これからが楽しみなお店です。
所在地:埼玉県所沢市小手指町1-27-16エスパスィオ101
TEL:04-2902-6455
営業時間:9:00 ~ 19:00
日・月曜定休
小手指駅徒歩7分
地図:Yahoo!地図情報
おいしいパン屋さんの最新情報はパンのメールマガジン(月2回配信)をどうぞ。