普通のパン屋さんでありたいと思う
ラ クロシェットは、中野駅前の喧騒を逃れた静かな場所にあります。パンを焼いているのは鈴木暁(ぎょう)さん。ラ・メゾン・ド・アンジェリーナ、成城ベーカリーなど数軒で修業を積んで10年余り。昨秋ここ中野で自分の店を持ちました。「昔からパンが大好きでした。長野の実家は朝食にパンを食べる家で……」
どんなパンですか?近くに特別なパン屋さんがあったとか?
「ごく普通のパン屋さんのパンを食べていました。トーストとか菓子パンですね」
この後「普通」という言葉がインタビューに幾度となく登場することになります。
「成城ベーカリーにいたとき、普通のパン屋さんであり続けることのすごさを肌で感じました。ごく普通のパンだけれど、ベースがしっかりしているからブレない。普通においしくて、年齢や生活スタイルの異なるいろいろなお客さんが来る店だったんです」
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ゆったりとした売り場スペースがベビーカーを押して来るママたちに好評。右の厨房も広々。 |
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入口近くの食パンコーナー。「パンドミー」(260円)、「全粒粉の食ぱん」(500円)、「黒糖くるみの山型食ぱん」(440円)、「角食ぱん」(250円) |
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パンドミー、パンドミーレーズン、全粒粉やクルミの食パンは午後焼きあがる。 |
そんな彼の好きなパンは「クリームパンやメロンパンなど、甘いパンが好きです。コーヒーとヴィエノワズリの組合せもいいですね。それから、パンドミーレーズンのバタートーストが気にいっています。おすすめはシンプルなパンドミー、角食パン、クロワッサン。普通すぎてすみません。僕は普通がいいんですよね」
鈴木さんにとっての「普通」とは?パンを食べてみたらわかるかもしれません。
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ラ クロシェットで人気の角食パンは100%国産小麦を使っています。バゲットやバタールにも3割ほど。国産小麦を使う理由は?「他にあまり手の込んだことはしていないので、ベースに力を入れたいと思っているんです。安心を求めるのはもちろん、焼きあがったパンの旨味が濃くなるように思うので使っています」
黒糖くるみや全粒粉など、数種類の食パンは「黒糖くるみのプチぱん」などテーブルロールのかたちでも焼かれています。
次のページではラ クロシェットのパンをご紹介します。