オーストリアの日常のパン
福岡のベッカライ&コンディトライ・サイラーを取材しました。オーストリアのパン屋さんの4代目アドルフ・サイラーさんが福岡にオープンして今年で14年目を迎える、パンとお菓子の店です。本国からすべての資材を取寄せて本場の雰囲気に作られた店内ではパンを始め焼菓子、生菓子、チョコレート、アイスクリーム、コーヒーや紅茶が販売されていて、それらをゆっくり楽しめるカフェも併設されています。
パンの売り場で最初に目が行くのは食パンとロッゲンブロート(ライ麦パン)の並んだ棚。砂糖、卵、油を使用しないロッゲンブロートは10種近くあります。
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オーストリアといえば、クロワッサンやデニッシュなどのヴィエノワズリ(Viennoiserie) を思い浮かべます。ウィーン(Vienne)で発祥し、フランスやデンマークなど周辺諸国へ伝わった油脂を多く含むリッチなパンです。でも、この店にはもっと日常のパンがたくさんあります。
たとえば、最もポピュラーな日常のパンといえば、カイザーセンメル。シンプルで軽い食感のテーブルロールです。オーストリアの朝食は、センメルにハムやレバーペースト、チョコペースト、はちみつなどをつけて食べるのだそうです。
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ハムやレタスを挟んだ胚芽入りセンメルの「カイザーサンド」(294円) |
サイラーならではのパンのいろいろ
サイラーの日常のパンをご紹介していきましょう。
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センメルと同じくらい有名なパンといえばプレッツェル。塩が生地の味わいを引き出すパンです。無塩バターやビールと抜群の相性です。
キプフェルは昔懐かしいコッペパンの味。ホットドッグバンズが3連になったのような面白い形のツァイレン(210円)もやさしい味わいです。
ファイゲンはライ麦70%のフォルコーンにイチジクがたっぷり使われていて、アニス、フェンネル、コリアンダー、キャラウェイシードがほのかに香る本場の味。白カビ系チーズと好相性です。
ラウゲンスピッツは福岡らしく明太子バター入り。あまり日本風アレンジをしないサイラーさんだけれど、「明太子はおいしいよ」とお気に入りの様子。
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シュタンゲル各種(カレー、ハワイ、シャンピニオン)各189円 |
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シュタンゲルもラウゲン独特の濃い茶色の艶のあるクラストを持つパンですが、「カレー」はソーセージ入り、「ハワイ」はチーズ、パイン、ベーコンに辛口ソース、「シャンピニオン」はピザソースとチーズといった具合にお惣菜パン仕様です。
ハード系の白いパンも何種類かあって、ねじったフランスパンのティローラー、南ドイツのセーレンなど、プレーンな味わいを楽しめます。
次のページはスイートなパンとカフェをご紹介します。