最近のフランスのパン事情
日常必需品のパンをどこで買うのか?というアンケートで、「職人のいるベーカリー」と答えたフランス人は全体の67%。理由は近いから。遠くておいしい店は行かない?という問いには「5分以内なら行く」との答え。そう、フランスにはたくさんのパン屋さんがあるのです。 ベーカリーの次がスーパー、その次がポワンショー。焼成のみを行う販売店舗のことで、増加中なのだとか。 食の多様化、労働力減少などで、一時は質と消費量が低下したフランスのパン。材料メーカーの技術開発によってスーパーでもそこそこのパンを焼けるようになり、健康ブームで消費者のパンへの関心が高まり、消費は多少持ち直したそうですが、純粋なベーカリーにとっては、業態の多様化による競争の時代が始まっているようです。 ベーカリーでありながらハムやチーズを売る、ブランチの提案をする店、惣菜店を兼ねる店、バラエティ豊かなサンドイッチをオンデマンドで販売する店、食のセレクトショップなどが人気で、フランスの街のなかに増加傾向にあるそうです。 フランスパンの普及4人の話に共通していたことは、パンのおいしい食べ方を もっと知って提案しようということでした。その商品をよく知るつくり手、あるいはお店の人が「こういう風にして食べるとおいしいですよ」と教えてくれることは、消費者にとってうれしいこと。それによって未知のおいしさを知ったり、苦手だと思っていたものが好きになることがあるからです。 パンはそれひとつだけでは食事として成り立たないもの。さまざまな食材との組み合わせによって生かされ、よりいっそう味わいを深めていくものだと思います。 消費者が自在に食事パンを楽しめるようになり、パン屋さんが新商品開発に頭を悩ますことなく、プレーンな食事パンをよりおいしく、いいものにすることに力を注ぐことができるようになったら、日本のパン文化も成熟したといえるかもしれません。そんな日はそう遠くないような気がします。 |
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