フレンチ/東京のビストロ

サンパ(荻窪)(2ページ目)

荻窪に見つけた、際立つ料理を出すワインレストラン、サンパ。現代フランス料理にはないエネルギーある皿が繰り出される。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

深化する伝統的フレンチ

「フロマージュ・ド・テット」。伝統的フランス料理の一つだが、最近はたんと見なくなった。手間隙かかる割には人気がないのだろうか。こりっとした食感と塩味の効いたゼリーの緩さがたまらなく好きで、メニューに見つけると必ずオーダーしてしまう料理の一つだ。豚のホホ、舌、耳、足がたっぷりと仕込まれている。サンパの料理は長方形に細長く、これまた見た目にボリューム感を感じさせるもの。蜂蜜をしたためたバルサミコのソースは女性に人気のようだが、私は塩をキリリと利かせたほうが好きで、それは好みの問題。次に行く時もきっと注文するだろう。
テリーヌ
コラーゲンもたっぷり?!

「ゴボウのスープ」にも隙はないし、「蝦夷鹿のタルタル」も牡蠣を添えるあたり海のものと山のものの組合せが楽しい。ボーヌのジャルダン・デ・ランパールではシャロレー牛のタルタルに牡蠣が載っている前菜がスペシャリテとして有名だが、ここで季節の蝦夷鹿のタルタルと牡蠣の組合せがあったことはとても印象に残る。
タルタル
蝦夷鹿の赤身は低カロリー高タンパク

メインは「カスベ(エイ)」を。アンチョビと黒胡椒を利かせたソースに特徴があり、フリットされたカスベにとてもバランスよく纏わりつく。赤ワインと共にソースは複雑に変化し、食べ進むに連れて気持ちのいい満腹感に包まれる。現代風フランス料理とは対極にある感服感と言っていいだろう。
エイ
白身と軟骨が美味しいカスベ

どの料理もとても丁寧に仕事がされており、この料理ならどれをとっても友人に勧めがいがある。食後に何よりも感じたことは、この伝統的フランス料理が料理人の技術によってこれからまだ深化するのではないかと感じたことだ。

もしかしたら「フロマージュ・ド・テット」は変らなくてもソースは変るだろうし、サラダももっと見せ方を変えてくるかもしれない。意外な肉を煮込んだり、複数のソースの組合せで素材の持ち味を変化させたり。意欲ある料理人ならば「伝統と変化」のバランスを上手に取り、もしかしたら新しい料理を作り出すかもしれない。

サンパはご夫婦おふたりで切り盛りしているので混み出すと料理の出は遅くなるだろうし、雰囲気も前店の居抜のままで何か個性がある凝った内装というものでもない。

しかし、ワインが大好きで、それに合う料理をがっつりといただくという方々には心地よいワインレストラン、サンパ。
レモンチェロ
レモンの爽やかさと心地よい苦味が楽しめる

そうそう、食後にはぜひ自家製のレモンチェロを。

*ちなみにサンパは2月3日(水)まで冬休みです。

サンパ(荻窪)
住 所  :杉並区荻窪5-16-23 リリーベル荻窪B1
地図
営業時間
ランチ  : 12:00~13:30(平日のみ)
ディナー : 18:00~23:30(LO)
定休日  : 水曜日・第4火曜日
電 話  : 03-3220-2888(予約は3時以降)

*都心から離れたところにあるお勧めのレストランがありましたらどうかお知らせ下さい。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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