フレンチ/東京のレストラン

レストランJ(広尾)(3ページ目)

植木将仁。軽井沢から広尾に降臨し、繰り出す料理は相変わらず記憶に残る力のあるもの。この秋、久しぶりに自信を持って紹介できる料理に出会いました。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

その素材の持つ奥行きを表現したい

勝浦産の小ぶりの伊勢海老は炭火でグリエされ、茸とサフランのソースが添えられる。ラビオリが大きな帽子のように伊勢海老を包む。立体感のある皿(これは銀座のラール・エ・ラ・マニエールにあるものと同じ)が面白く、中には紅葉前の紅葉の葉が飾られている。やや伊勢海老自体の食べづらさが気になるが、このユニークな食器が不便さを贅沢感に変えてくれる。
伊勢海老
出汁の香りがさらに食欲を高めてくれる

軽く燻製がかった小鳩のロースト。モモと内臓はフリットにされ肉味とは異なるアクセントを創り出す。驚くべきは下に敷かれたポム・ピューレ。ロブションのそれとはまた違う、でもびっくりする位の旨みを感じるピューレ。焦がしバターの上の脂分を取り出し、インカの目覚めに絡めて作り上げる手間のかかるもの。バターは相当使っているはずではあるが、ねっとりとした味わいの余韻の長い優しさを感じるピューレになっている。
小鳩
ポム・ピューレの味わいに驚きを隠せない
一つひとつの料理に力があり、どれも記憶に強く残る。そしてすべて食べ終わっても不思議ともたれない。パンを食べていないからかもしれないが、すーっと身体に染みこんでいく料理ばかりではないだろうか。素材は確かにいい物を使っている。しかし、いいものだけではここまでの領域には来ないだろう。まさしく料理人の技術そのものが表現されている。
デザート
サマートリュフの香りがデザートを優雅に包み込む
植木シェフはこう話す。「かつては皿の上に多くの素材を並べいろいろな組合せを試していた。今は一つの素材と向き合い、その素材の持つ奥行きを表現できるような料理を目指している」と。これは軽井沢でレストランを2年少しやっていたときに徹底して素材と向き合ったことがいい経験になったと話す。

ワインリストはこのご時勢にしては総じてやや高く感じるが、さて、今後どうなるか。まさかエノテカの上にあるからエノテカのワインばかりになるとは限らないだろうが。。。今回は9500円のコースをご紹介したがコースと同じ値段のワインのラインナップを揃えることを私は希望したい。
キッチン
キッチンの入口にもレストランJがある
とにかくJ、そして植木シェフの料理はこの秋、じっくりと楽しむ価値がある。彼はきっと休みなく厨房に立つだろう。

■RESTAURANT & BAR J レストラン&バー ジェイ(広尾)
住所:東京都港区南麻布5-14-15 アリスガワウエスト2F
ワインショップエノテカの2階
電話:03-5798-9070
営業時間
DINING & PRIVATE ROOM
LUNCH 11:30~14:30 LO コース2800円~
DINNER18:00~22:00 LO コース6500円~ アラカルト1200円~
BAR & TERRACE
LUNCH&CAFE
11:00~17:00 L.O 1500円(3皿のクイックランチ)
BAR
Mon.-Sat.18:00~ 3:00 L.O.
Sun.   18:00~22:00 L.O
定休日:不定休
東京メトロ日比谷線広尾駅より徒歩3分。
地図

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