フレンチ/東京のレストラン

ロドラント(銀座)(3ページ目)

2008年8月4日開店。銀座に一角に静かに幕を開けた20席の小さな空間は香り漂う大人の空間。長く時を刻むレストランであってほしい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
この料理でコース全体の印象が格段に上がる

閉じ込められた鴨とフォアグラ

フォアグラとシャラン産鴨のコンフィのクリュスタード仕立て。これにはマスタードのソースを添えられる。薄い皮で包まれた中に閉じ込められたのはフレッシュなフォアグラと鴨のコンフィ。カリッと揚げられた薄皮の中には想像以上に凝縮感のある「味」が仕込まれている。官能的と言ったらいいのか、その「味」に神経は過敏になり、驚きと興奮に包まれる。しかし、実に物足りないと思えるほど、一瞬で消えて昇華されていく。次の機会には1本ではなく3本とリクエストしてみたい。

この料理のインパクトはかなり強いのでぜひお薦めしたい一品だ。

フランス料理
ミネラル感のあるシャルドネと合わせてみたい
やっと魚料理にたどり着く。マゴチのポワレにはズッキーニが添えられる。これはもうマゴチの新鮮さと決して火を入れすぎない、ギリギリのところに届く火入れの技術の賜物。ほわっと膨らむように身がはじけ、まるで生きているかのような食感に驚くばかりだ。

そしてメインディッシュは羊のローストにソースはバジル風味のもの。ペッパーの効きも心地よく、バジルといっても軽い風味程度にまとめられている。基本は羊のジュを煮詰めたもので味わいを引き締める、輪郭をはっきりと描いた料理となっている。

フランス料理
最後は羊のがっつりとしたボリュームで締め括られる
デザートはボリュームに妥協のないスフレが登場だ。カリっとした食感とふわっとした中身とのバランスが楽しいデザート。アツアツなのでじっくりと時間をかけてお腹に納めていく。

いや、我ながらよく食べた。しかし、ロドラントのモダンなフランス料理はメインこそクラシックな味わいながら、全体を通しているのは調和。もちろん満腹にはなったが、お腹がもたれることはない。

デザート
スフレはまさにレストランで楽しむデザートの一つ
サービスの方はまだ若いだけにややたどたどしいところもある。キッチンに確認に行くこともしばしばあるようだ。しかし、その姿勢はきりりとして好感が持てるもの。くだけることなく、ご自分の持ち味を表現し、ゆっくりと熟成させていくといいだろう。

私たちが食事をした日は実に居心地のいい空気がふわふわと流れていたのだが、季節が変わり、時間を刻んでいくとどのように変化していくのか非常に楽しみだ。

日本のフランス料理の高い水準を世界に知らしめるには恰好の場所である銀座。今日の料理を感想を一言で述べるとしたら、ロドラントもゆっくりと時間をかけて名店の仲間入りを果たしていく片鱗を感じた料理、そして空間であったと思う。時を急ぐことなくゆっくりと歩いていってほしいレストランであって欲しい。

ロドラント
東京都中央区銀座7-7-19 ニューセンタービルB1
03-5537-7635
東京メトロ銀座駅A2出口より徒歩5分程度
JR新橋駅銀座口より徒歩5分程度
地図
12:00~14:00(LO)
18:00~21:00(LO)
日休

フレンチガイドのメルマガ購読はこちらからお願いいたします。

女性のためのグルメガイド、河野優美さんのご紹介記事はこちらです。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます