フレンチ/東京のレストラン

キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ

素材の組合せ、軽やかだが複雑なソース、そして見せ方。現代フランス料理の楽しみが凝縮されたトロワグロの料理は予想をはるかに上回るものだった。ミシュラン東京2008の2つ星。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ハイアットリージェンシー
窓側の席からは公園の緑が垣間見える

トロワグロと言えば

小田急沿線に住む私はトロワグロと言えばまず思い浮かぶのが「パン」。長きに亘り小田急百貨店の地下で販売されているパンを求めてしばしば翌朝分を買いに立ち寄る。そのオレンジ色の包装袋にいささかの疑問を持たなかったのだが、先日昼時ながらディナーメニューをゆっくりといただいたときにそのオレンジ色の意味がちゃんと結びついたのだから面白い。

フレンチグルメならフランスはロアンヌにある38年間三ツ星をい輝かせるレストラン、トロワグロを思い出すだろう。多くの日本人料理人がそこを目指し、特にシェ・イノの井上旭シェフはその代表格だろうか。ご自身の店「ドゥ・ロアンヌ」を恵比寿に開店し、そこで腕を振るう岡本英樹シェフもトロワグロに薫陶を受けた一人でもある。

さて、西新宿はハイアット リージェンシー東京。以前はセンチュリーハイアットだったが経営資本が代わり、ラグジャリー感を前面に出した都市型ホテルとして見事な再生を図りつつある。その目玉が06年にホテル内に開店したキュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロだ。

ミシュラン東京2008で2つ星を獲得している。なお、開店半年後に「女性のためのグルメ情報」ガイドの河野優美氏が記事にしているのであわせてご覧いただきたい。

トロワグロ
思ったよりこじんまりとまとまっている
ロアンヌのレストランで腕を振るうミッシェル・トロワグロが監修するこのレストランにはキュイジーヌに[s]が付けられている。それは日々進化し向上する料理の数々を表現するために[s]を付けて強調しているという意図があると聞く。

たまたま今回の記事でホテル内にあるレストランを3回続けて書くことになったが、それぞれ特徴があって面白い。パレスホテルのクラウンレストランはかなり昔から歴史的名店であるヴィエンヌのラ・ピラミッドと提携し、伝統的なフランス料理の王道を歩む。京王プラザにあるアンブローシアは生え抜きの日本人シェフにより、日本におけるフランス料理の歴史を着実に刻み続ける。

フランス料理
最初のアミューズは小さな3つの料理
そしてトロワグロ。2006年の9月に開店し、新生ホテルのメインダイニングとして時を刻み始めたばかりだ。インテリアは上記2店と異なり、著名なデザイナー、杉本貴志氏の手によるもの。
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