フレンチ/東京のレストラン

ピエール・ガニエール・ア・東京(青山)(3ページ目)

今一度、ヌーヴェル・キュイジーヌを考えてみたくなるガニエールの料理。料理とは何か、進化とは何か。料理とインタビューを交えた新しい世界を感じていただきたい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
輪郭がはっきりとした食べ応えのある料理だ

滋味深い雷鳥の味わいに

焦がしバターで調理した黒ムツ。冬に登場する贅沢な魚だ。パプリカとエスプレット唐辛子の風味をつけてポロ葱やキノコ、ウナギの燻製を添えた一皿。ガニエールの料理にしては見た目に面白さがないかも知れない。しかし、黒ムツの新鮮さを保つためにギリギリのところまで火を入れ、そして止める正確さ。これは外角低めの角っこを変化球でギリギリ通すという抜群のコントロールが必要だ。

ソースを活かすも殺すも素材の調理をどうするかにかかってくる。ただし、この料理に軽さは感じられない。表現するとしたらふくよかで上品な重さか。

コースから選ぶメインをジビエに変更。雷鳥のローストは適度な苦味を従えたこの季節ならではのもの。ジビエには苦味とも取れる滋味がなくてはならない。癖のないジビエを求めるほどナンセンスなことはない。ジビエは苦くて硬くて重々しい料理でなくてはならない。

フランス料理
雷鳥の心地よい苦味に自然の恵みを感じる
しかし、ガニェール氏の手にかかると自分の頭で考えているイメージと、実際に供される料理のギャップに驚くことなく、不思議と記憶が飛ばされ思考がまっさらにされてしまう。気がつくと手のひらで踊らされているかのような錯覚のまま、皿のソースをパンで拭う自分がいる。

残しておいたジャン・マルク・ボワイヨのピュリニーモンラシエは甘みを帯びた優しい味わいに変化。雷鳥のソースはさらりと溶け合う奥ゆかしいワインになっていたことに驚きつつチーズ、そしてデザートを待つ。

ガニェール氏とのだんだんとくだけたインタビューに移ろう。
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