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丸テーブルが多いのも嬉しい |
清々しさとワクワク感
地下に降りる階段から中に入ると、すぐにマダムの笑顔にすーっと引き込まれることになる。駅からのさびしい道を歩いてきた気分はどこに行ったのやら、店の入口でここまで気分が変ることに素直に驚く。席に着くと時計を外して、携帯をOFFにしてメニューと向き合う。何か清々しい気持ちなるのはホールを流れる空気がほんとうに温かいからに他ならない。
思えば昔懐かしい子供の頃(72年の札幌オリンピックの頃だろうか)に母親に連れて行ってもらった、札幌グランドホテルのライラック(そうだ、私はそこのハンバーグステーキが大好きで、当時の一番のご馳走だったのだ)に入ったときのワクワク感を思い出す。あれから30年経った今、メニューを見ていると気持ちは清々しさからワクワク感に移り、お腹がぐぅと鳴り出すのを抑えるのに必死になる。
気がつくとあたりは年配の夫婦、ご家族でいっぱいだ。女性同士がいなかったのはたまたまか。ゲストもまたこのレストランの重要な雰囲気を醸し出している。
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食感にアクセントをつける付け合せも見逃せない |
料理に関しては、つたない言葉で表現するのが非常に辛い。ソテーした牡蠣と筍、菜の花を盛り合わせてアンチョビで風味をつけた一皿は、何気ない料理と思いきや、口に含んだ瞬間から味わいの感覚が超ハイスピードで回転する。余韻をシャブリで流すその瞬間になって初めて、単純な料理の奥の深さに気付く。
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シンプルが故に真似できない美味しさなのか |
蛤のクラムチャウダーに至っては、何も足さず何も引かずというほどシンプルな味わい。誤魔化しが効かないシンプルさ。それ故に印象が強い。何が違うんだろうか。これまで同様の料理を数多く好んで食べてきたが何かが違う。素材か?調理方法か?無論答えはすぐには見つからない。自問自答しながら次のメインディッシュを待つ。