フレンチ/東京のレストラン

オハラスレストラン(五反田&大崎)(2ページ目)

ひっそり佇む名店オハラス。小原家のレストランにはあたたかく、そして気品ある世界が拡がる。フランス料理の王道を行く料理、そしてホスピタリティはすべての料理店の見本になるといっても過言ではない。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

サラダ
丸テーブルが多いのも嬉しい

清々しさとワクワク感

地下に降りる階段から中に入ると、すぐにマダムの笑顔にすーっと引き込まれることになる。駅からのさびしい道を歩いてきた気分はどこに行ったのやら、店の入口でここまで気分が変ることに素直に驚く。席に着くと時計を外して、携帯をOFFにしてメニューと向き合う。何か清々しい気持ちなるのはホールを流れる空気がほんとうに温かいからに他ならない。

思えば昔懐かしい子供の頃(72年の札幌オリンピックの頃だろうか)に母親に連れて行ってもらった、札幌グランドホテルのライラック(そうだ、私はそこのハンバーグステーキが大好きで、当時の一番のご馳走だったのだ)に入ったときのワクワク感を思い出す。あれから30年経った今、メニューを見ていると気持ちは清々しさからワクワク感に移り、お腹がぐぅと鳴り出すのを抑えるのに必死になる。

気がつくとあたりは年配の夫婦、ご家族でいっぱいだ。女性同士がいなかったのはたまたまか。ゲストもまたこのレストランの重要な雰囲気を醸し出している。

牡蠣
食感にアクセントをつける付け合せも見逃せない
料理に関しては、つたない言葉で表現するのが非常に辛い。ソテーした牡蠣と筍、菜の花を盛り合わせてアンチョビで風味をつけた一皿は、何気ない料理と思いきや、口に含んだ瞬間から味わいの感覚が超ハイスピードで回転する。余韻をシャブリで流すその瞬間になって初めて、単純な料理の奥の深さに気付く。

クラムチャウダー
シンプルが故に真似できない美味しさなのか
蛤のクラムチャウダーに至っては、何も足さず何も引かずというほどシンプルな味わい。誤魔化しが効かないシンプルさ。それ故に印象が強い。何が違うんだろうか。これまで同様の料理を数多く好んで食べてきたが何かが違う。素材か?調理方法か?無論答えはすぐには見つからない。自問自答しながら次のメインディッシュを待つ。
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