素朴な風情のエントランス |
日常的フランス食堂の魅力
フレンチは都心ばかりでなく地方や住宅地に根付いて本物かな、という話を耳にした。東京の山手線の中にはそれはたくさんのレストランが存在するが、それだけではいつまで経ってもハレの日の特別なご馳走レストランのままで終ってしまう。もちろんそれはとても大事なことだが、食いしん坊は家の近くにも下駄履きで暖簾をくぐれるフランス食堂があってもいいよな、と思っているはず。もちろん私もその一人だ。そんなことを考えているうちに都営大江戸線や小田急線沿いにもぽつりぽつりといいレストランが増えてきた。共通しているのは自然体でアットホーム。豪華な内装とかカトラリーは高級品とかではなく、ご夫婦やスタッフのフレンドリーさ、そしてそのレストランの中を流れる風は近隣に住まうお客様が創りだしているという、そんなほっとする雰囲気が特徴だ。
何気ないフランスの郷土料理にほっと一息 |
オーナーの漆原氏は四谷三丁目の「パザパ」で10年フロア責任者として従事されたあとに独立。低価格でボリュームを重視した料理が特徴だ。日本の日常的な食材をフランスの家庭料理に変身させるだけでは誰も驚かないが、そこにボリュームというとてもわかりやすい表現方法によってインパクトをつけている。
食欲を駆り立てるソースが印象的 |
暖かみのある前菜、ボリュームたっぷりのメイン
前菜はロレーヌ地方の郷土料理であるキッシュ。アツアツでサービスされるこの一皿の何気ない味わいに気持ちは和むとでも言おうか。卵のふわりとした食感がしっかり生かされているし、とにかくあつあつなのが嬉しい。追加でオーダーしたトリッパの煮込みもトマトの優しい溶け具合にパンがどんどん進む。さあ、これならかぼちゃのスープや牡蠣なども食べたい!と思ったくらいだ。メインは野菜とハム、ポークがたっぷり入ったポトフ。全体的に塩加減を抑えており、これはきっとボリューム感とのバランスを考慮したものか。見た目よりもボリュームはたっぷり |
20席ほどの店内は2人または4人の女性同士がほとんどだ。皆さん、普段着。帰りがけに入ってこられた方はベビーカーを。そこには可愛い男の赤ちゃんがすやすやと眠っていて、住宅地に根付く和やかなレストランの表情がそこに見えたような気がした。
■エシャロット
新宿区西落合1-14-14
tel; 03-3953-9986
都営大江戸線落合南長崎駅A1出口 徒歩2分