フレンチ/東京のレストラン

寒い日はポトフで心も体もほっと一息 エシャロット(落合南長崎)

大江戸線は落合南長崎駅近くのビストロ、というよりはちゃんとしたフランス食堂、エシャロット。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

エシャロット
素朴な風情のエントランス

日常的フランス食堂の魅力

フレンチは都心ばかりでなく地方や住宅地に根付いて本物かな、という話を耳にした。東京の山手線の中にはそれはたくさんのレストランが存在するが、それだけではいつまで経ってもハレの日の特別なご馳走レストランのままで終ってしまう。もちろんそれはとても大事なことだが、食いしん坊は家の近くにも下駄履きで暖簾をくぐれるフランス食堂があってもいいよな、と思っているはず。もちろん私もその一人だ。

そんなことを考えているうちに都営大江戸線や小田急線沿いにもぽつりぽつりといいレストランが増えてきた。共通しているのは自然体でアットホーム。豪華な内装とかカトラリーは高級品とかではなく、ご夫婦やスタッフのフレンドリーさ、そしてそのレストランの中を流れる風は近隣に住まうお客様が創りだしているという、そんなほっとする雰囲気が特徴だ。

前菜
何気ないフランスの郷土料理にほっと一息
エシャロットもその一つ。都営大江戸線は落合南長崎を出て新青梅街道を少し進むと左手に見えてくる小さなフランス食堂。内装は別にこれといって特徴があるわけではない。しかしエントランスを見るだけでも安心して時間を過ごせるような気になってくるから不思議だ。メニューはランチ1575円、ディナーで2940円から。「日常」を意識した価格に素朴で暖かな料理を楽しんでいただきたいという姿勢が嬉しい。

オーナーの漆原氏は四谷三丁目の「パザパ」で10年フロア責任者として従事されたあとに独立。低価格でボリュームを重視した料理が特徴だ。日本の日常的な食材をフランスの家庭料理に変身させるだけでは誰も驚かないが、そこにボリュームというとてもわかりやすい表現方法によってインパクトをつけている。


トリッパ
食欲を駆り立てるソースが印象的

暖かみのある前菜、ボリュームたっぷりのメイン

前菜はロレーヌ地方の郷土料理であるキッシュ。アツアツでサービスされるこの一皿の何気ない味わいに気持ちは和むとでも言おうか。卵のふわりとした食感がしっかり生かされているし、とにかくあつあつなのが嬉しい。追加でオーダーしたトリッパの煮込みもトマトの優しい溶け具合にパンがどんどん進む。さあ、これならかぼちゃのスープや牡蠣なども食べたい!と思ったくらいだ。メインは野菜とハム、ポークがたっぷり入ったポトフ。全体的に塩加減を抑えており、これはきっとボリューム感とのバランスを考慮したものか。

ポトフ
見た目よりもボリュームはたっぷり
残念なのは誰もワインを飲んでいないこと。赤い顔しているのは私だけ。グラス一杯の白ワインが前菜の味わいをぐっと引き上げてくれるのに、と思いつつ日本では昼間にお酒の飲むことはよからぬことという風習を僕は怨んだ。(値段も500円程度だし、お店も積極的に薦めれば出ると思うんだけどなあ。。。)と書いたところで、サービスはもうちょっとお客様の中に入っていってもいいのではないだろうか。シェフやサービスの方(マダムかしら?)のファンが増えていけばもっと楽しくなるはず。

20席ほどの店内は2人または4人の女性同士がほとんどだ。皆さん、普段着。帰りがけに入ってこられた方はベビーカーを。そこには可愛い男の赤ちゃんがすやすやと眠っていて、住宅地に根付く和やかなレストランの表情がそこに見えたような気がした。

エシャロット
新宿区西落合1-14-14
tel; 03-3953-9986
都営大江戸線落合南長崎駅A1出口 徒歩2分
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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