フレンチ/東京のレストラン

16年も変わらぬ料理がここにあった。 ギャラリークープシュー(新宿)(2ページ目)

新宿は西口の雑居ビルの地下に長い時代を生き抜く尊敬すべきフレンチがある。日常とは永く存在して初めて意味のあるものだと言うことがわかるはずだ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

さあ、定番料理をガンガンいこうということで、ウニのグラタン、温泉卵とサザエのサラダ、メインはブイヤベースと鴨のコンフィを。

オープン以来定番とされるウニのグラタンはバタークリームとマッシュルームをオーブンで焼き上げた素朴な料理。ウニの食感と濃い目のソースが絡む記憶に残る味わいだ。パンに添えられるバターは生クリームが混ぜられた味わいあるもの。このバターを記憶している方もきっと多いはずである。

鴨のコンフィは塩が緩く、肉質も今ひとつだったが、フランスの田舎ではもともとが保存食。この値段で、と思うとマダムのサービスと古めかしいが味わいのある雰囲気で納得してしまう。お腹一杯になったあとのデザートの盛り合わせにも、このレストランの魅力が隠されている。

ワインは3000円~5000円の間のものが揃えられ、シャトーがどうした、ドメーヌがどうしたという薀蓄なしの、ゆるやかで優しいワインリストだ。ワインリストのほかにアペリティフリストもあり、なんでもかんでも混ぜ込んで、子供相手の安い飲物ばかりを並べているというものでは決してない。

その中にシャンパーニュ、ローランペリエを発見。値段はフルボトルで5000円だ。この値段限りなく小売の値段に近いことは誰でも気がつくだろう。迷うことなくキレとふくよかさが同居する泡の世界に入り込む。

場所柄休日などは若い女性達で混みあうのかも知れない。でもこのレストランの雰囲気に溶け込むのは、なんとなくだが大人の男性達のような気がしてしまう。

ちなみにお値段は前菜2品、メイン2品、デザートの盛り合わせ、シャンパーニュフルボトルで12000円ほど。ランチも1500円でかなりのボリュームだそうだ。

ギャラリークープシューは16年に亘りフランス料理の日常を伝え、若い方に今も変わらずの人気店である。これはフレンチの裾野の広がりを支える意味で、僕はかなり大袈裟に「大きな意味を持つ」と思う。

ギャラリークープシュー
新宿区西新宿1-4-5 西新宿オークビルB1F
03-3342-5119
11:30~14:00、17:30~22:00(日曜は17:00~21:00)
第2月休
JR新宿駅西口から徒歩3分
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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