フレンチ/東京のレストラン

ル・ブルギニオン菊地シェフの素顔に迫る! シェフに訊く!第2回(2ページ目)

東京でも最も人気のあるフレンチの一つ、「ル・ブルギニオン」。シェフの飾らない人柄、内臓系を得意とする料理、選び抜かれたワイン。しかし彼曰くまだまだ発展途上と語るその素顔とは?

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ブルゴーニュは行かれましたか?

もちろん!生産者はルーミエ、メオ・カミュゼ、マルキ・ド・ダンジュビユ、ルロワなどですが、悔しいかなルロワだけが別格でした。単に濃いというだけでなく力強さやスケールの大きさなど、他のドメーヌより多くの面で秀でていて、改めて驚いたなあ。今年は恐ろしいほど夏が暑く、雨の具合によっては8月後半から収穫の準備を進めるところも出てきそうだと聞きました。(この後ワイン談義は果てしなく続く。。。)

レストランはいろいろ行きましたが、シャニーのラムロワーズでは予想通り高いレベルと最高のサービスが堪能できました。

話し変わって、ブルギニオンの賄いはどんなものですか?和食が多いのでしょうか

ご飯は週一ですね。勝又シェフ(現箱根オーミラドーのオーナーシェフ)が、フランス料理の世界にいるのなら賄いもフレンチであるべきだ!という教えは絶対でしたから(笑)。確かに若手は賄によってしか自己アピールができません。メニューは僕が考えますし、作業の流れも担当が決まっています。決められた食材をとにかく無駄にしないで、いかに満足度の高い料理を作るか、で能力をアピールすることが求められています。

今日もスタッフは皆ここで一緒に食事を取ります。ディナーの前の賄い料理は僕のだけが大盛りなんですよね。仕事が終わってから食事することを妻に固く禁じられていますので(笑)。

注:この日の賄いはクスクス。そそられる香りが漂うダイニングはまさにブルゴーニュのビストロの賄い風景でした。

ご自身の料理についてはどのように捉ええていますか?

コースよりアラカルトとかよく言いますが、そういったことも含めて、まだまだ方向性は実は定まっていないのです。お客様にはそう見えないかもしれませんが、迷っている中で、絶えずいい方向を考えていかなくてはいけない、今はそういう時期だと考えています。かつてのアンフォール時代は手探りで、まだまだ方向性すら見えず、完璧ということばにはまだ遠い時代でした。まさに一心不乱。顔は笑っていても内心は必死だったんです。

ここル・ブルギニオンという城を構えても、そのことはいつも考えています。軸をどこに置くか、料理の方向をいかに定めるか。しかし大事なのは、そのプロセスにおいて必ずお客様が介在されているということです。新メニューの反応など見ながら、絶えず学ぶ毎日が続きます。


菊地さんにとってフレンチってどういうものでしょう?

そうですね、ジンギスカン鍋を囲むような楽しいものでありたいと思いますね。食事、ワイン、そしてテーブルを囲む親しい人たちがすべて素材だと思います。うーん、それがフランス的なエスプリなんですよね。彼らは本当に時間をかけてうらやましいくらい食事を楽しんでいます。僕はもっともっとフレンチの楽しさを広めたいと思っています。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

まだまだ手探り状態という中に、密かな自信を感じました。芯は相当強く、頑固で、それでいて素直。お客様はシェフの笑顔しか見ることはできませんが、その人をぐっと近づける眼差しの奥には、フランス料理の楽しさを広げるための強い信念を感じます。だんだんと引き込まれるというのはこういうことでしょうか。

しかし、私としてはもっともっと大化けして欲しい。単なる人気シェフというだけで終わって欲しくはないのです。同じ北海道で清んだ空気を吸って育った同郷人として私は彼にエールを送りたいです。

さあ、夏はあっという間に終わって秋が来て、そして冬。寒くなった頃、ポトフの鍋を囲んで家族が食卓を囲む。ワイン飲みながら延々と楽しい時間を過ごす。菊地シェフのイメージはブルゴーニュの田舎の食卓風景そのままだと感じました。

ル・ブルギニオン
港区西麻布3-8-103
(5772)6244
11:30-13:30/18:00-21:30
毎月第二火曜と水曜休
客単価はコースやワインにもよるが、一人12,000円~15,000円
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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