フレンチ/東京のレストラン

秋深く茸的美食快楽浸る夜。。。 マッシュルーム(恵比寿)

お肉で季節感はなかなか味わえない。魚や野菜ではごくありきたり。でもキノコならちょっとだけ非日常的かな。妖しささえ感じるキノコの魅力は秋が最高!

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

夏が嫌いな私は早く秋が来ないかなと唯々待ち焦がれる人間である。秋になると食い物がうまくなるからだ。秋刀魚、マツタケ、栗、柿、ジビエと書き出すとキリがないが、中でも気になるのがキノコの類。もちろん、ジビエには目がない、お金さえ払えば今やどこででも食べられる。世界的流通システムの進歩が非日常性を日常に変えてしまった、いい悪いは別にして。

しかしキノコはまだ蚊帳の外。大地の湿った暗いにところに身を隠し、ひっそりと佇む。中には毒をもったものもあるところが、何か、人にこびない猫的な魅力が感じられる食材に思える。

そして恵比寿。この街のフレンチというとシャトーレストラン・タイユヴァン・ロビュションを筆頭にレストラン・ドゥ・レトワール、モナリザ、オ・コション・ローズ、マッシュルーム、カーエム、レスパス等しっかりとフレンチの歴史を刻む名店に加え、新しいところではサリューといったこれから大きく成長する若いレストランがバランス良く存在している。上記のフレンチは皆安定した実力店ばかりで、フレンチの楽しさが満喫できるお勧めのレストランと言える。

その中にあって最も個性的なレストランが
「マッシュルーム」ではなかろうか。ここの特徴がずばり、キノコにあることは今や非常に有名である。9年ほど前に開店したときにはフレンチの看板を特に意識しないで営業していたせいか、洋食屋さんと勘違いして来られたお客様も多いと聞く。4~5年前からキノコ中心のメニューをより充実させ、今日に至る。シェフの山岡氏は84年27歳の時に渡仏修行し、帰国後93年36歳の時に独立。40代半ばとは思えない風貌とウイットに富んだ語り口は天性のものと見る。キノコ料理の出版物もあり、この食材を語らせると右に出るものはいないと言われる。

1年半ぶりに食事に出かけたが、ますます充実したクリエイティブなキノコ料理にノックアウトである。

で、その料理とは?
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