このレストランの持ち味は、一つにはシンプルながら非常に寛ぎを感じる空間デザインとテーブルセッティングにある。ベンチシートでお隣の会話が聞こえるレストランが多い中、これは特筆すべきことだと思うのだ。丸テーブルに斜めに座ると、正面から向き合わないため視線のやり場に困ることがない。コミュニケーションロジック的にも会話が途切れず親近感が増すと言われている。
また料理に関してはフランス料理の伝統を正確に伝えるべく料理である。東京風と言う言葉の裏にはフランス料理の王道的調理法がほのかに見え隠れしている。火の通し方、持ち味を引き出すソースの味わい、私はこの料理を東京的フレンチなどとは決して思えない。
この1年の間にディナー、ランチと数回出かけたが、客層が非常に良いこともこのレストランの価値を上げている。中学生位の子供とそのご家族、老夫婦、カップルといった方々が非常に多い。それもおいしい食事と楽しい時間を過ごしに来ていることが、ほんとうに良くわかる。このようなレストランはそう多いものではあるまい。
先日のランチでも夜と同様に落ち着いた雰囲気の中で料理が楽しめた。プリフィクススタイルは変らずだが、値段はずっと押えられている。グラスワインもとてもリーズナブルだ。デザートの前にワインがまだ残っていたので、チーズを注文したのだが、二人分でなんと1,000円という値段には驚きだ。
またオザワシェフ自らデザートを運んでくれたりしてシェフの顔が見えるのは気持ちがいい。ただよく見ているとメインディッシュが出そうな頃になると姿が見えなくなる。きっとオープンキッチンの奥で腕を振るっているのであろう。
「流行を意識した話題のお店」が脚光を浴びる中、時代の流れの速さを超越したOZAWAの存在価値をぜひ読者の皆様に知っていただきたいと思う。
なお、お値段は二人でディナーの場合、アペリティフ、7,500円のコース料理と10,000円のワインと充実した時間を含めて33,000円位が目安である。
■OZAWA
港区白金白金台4-9-23
03(3442)1171
12:00~15:00/18:00~23:00/月休
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