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ゲームに対するアップルの本気を聞いてきた(2ページ目)

iPod touchといえば、国内60%のシェアを誇るポータブルミュージックプレイヤーですが、今、ゲームの世界にもその領域を拡大しつつあります。iPodの生みの親が語るゲームの未来とは。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


App Storeの成功

スーパーモンキーボールの図
新しい機能を生かしたゲームが続々登場しています。iPod touchを傾けて操作するスーパーモンキーボールもそのひとつ
イング氏:私達は2008年7月にApp Storeを導入し、そこで実に刺激的なことが起こりました。いままで思いつかなかったようなアプリケーションがつくられ、それによってiPod touchの機能も音楽再生機という枠を超えたものになりました。

App StoreはiPodで利用できる便利なツールや、ゲームなどをダウンロードできるオンライン上のお店です。特徴的なのは、10,800円のデベロッパプログラムを購入すれば、個人でも開発を行い、アップルを通してApp Store上で全世界62ヶ国で無料配布、あるいは有料販売をすることができるビジネスモデル。既存のゲーム業界ではちょっと考えられないお値段で参入できるわけです。

イング氏:App Storeは既に大成功を収めていて、6000以上のアプリケーションが存在しています。また、ユーザーの反応も素晴らしく、ダウンロード数は全世界で2億を超えています。

参考までに、Wiiのバーチャルコンソールは発売約10ヶ月の間で、全世界780万回のダウンロード。App Storeには無料のアプリケーションも大量にあるので単純比較はできませんが、それでも約3ヶ月で2億という数字はちょっと桁違いです。それだけのボリュームでアプリケーションを求めるアクセスがあるというだけで、大きなビジネスチャンスを示唆します。

App Storeがゲームの未来を変える

しょんぼりするDSとWiiの図
同じくタッチパネルを採用しているDSが発売された時の、これから何か今までにないことが起こる予感。そんな期待感がiPod touchにもあります
イング氏:この成功はゲームの未来を示すものであると思っています。App Storeの最も大きなカテゴリはゲームで、現在1500のタイトルがありますが、ユーザーは24時間いつでも、在庫切れの心配もなく、この全てのソフトがそろっているお店が家にいながら利用できることになります。また、開発者にとっては、パッケージも、流通の心配もなく、ゲームを開発すればすぐさま世界中、62ヶ国に配信することのできるプラットフォームを意味します。

既存の流通から脱却しているというのは、実際かなり大きいと言えます。あまりにマイナーなソフトというのは、そもそも流通に流れません。例えば、ユーザーからの評価も高く、Wiiへの移植も決定したXbox360の名作、デッドライジングは発売初週約2万本の販売で品薄状態に陥りました。当然機会損失が起こります。いくら良く出来たソフトでも、店頭になければ売れません。それは、ゲームの多様性を大きく阻害します。

App storeにおける参入のしやすさと、全世界の開発者が全世界のユーザーに配信できる仕組みは、より変化に富んだゲームの出現を促す大きな可能性を秘めています。

イング氏:私たちは1年前にiPod touch発売した時、これは究極のiPodだ、最高のiPodだと思いました。音楽もビデオも、そしてゲームもすべて最高のものが手に入れることができるのです。

ハードウェア的にも、既存のゲームハードと勝負ができ、なおかつオリジナルの流通とビジネスモデルを持つという意味で、iPod touchがゲーム業界に大きく変革をもたらす可能性は十分にありそうです。

さて、イング氏に対する取材はここまでだったのですが、さあ帰ろうという時に、ちょっと気になることがありました。
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