PS3を買うとどんなハッピーが訪れるのか
Wiiのプロモーションは、Wiiという商品で色んな人が集まってゲームが楽しめるということを、強く意識したものでした。 |
Wiiというハードが存在感を持っているのは、ゼルダよりもWiiスポーツ、マリオよりもWiiFitを前面に押し出すことで生まれています。ゼルダやマリオは、むしろゲームがもともと好きな人に対する脇固めの役割を帯びていると言えるでしょう。
今PS3を買うとどんな幸せが、どんな新しい楽しさが訪れるのか、これを分かりやすく説明できるタイトルはまだちょっと見当たりません。現状、PS3のソフトの多くはPlaystation2(以下PS2)の延長上、PS2の豪華版に留まっているように見えます。高性能である分、開発に時間とお金がかかりますから、発売後約1年でハードの性能を生かしたゲームを望むのは酷なことではあります。しかし、ライバル機のWiiがスタート地点で明確な差別化を図ってきた以上、そうも言ってはいられないわけです。
キラーソフト不在による悪循環
FF13はPS3のキラータイトルとなり得るのか。それは、FF13がPS3でしかできない新しい価値を生み出すことができるかどうかにかかっています。 |
ハードの価値、存在が決定付けられないと誰にどう売ったらいいかも分かりません。もちろん幅広い層に売れれば一番いいわけですが、どこをコアターゲットに設定して、どんなコンテンツを切り口にして、どういう過程で間口を広げていくのかという事業のストーリーを描くのが非常に困難になります。
このことはプラットフォームホルダーであるSCEはもちろん、ソフトを開発するサードパーティ、それに販売する小売店、さらにはPS3を取り上げたいメディアなど、様々なところに影響を与えます。ハードの存在感が希薄な為に、方向性が定まらず、方向性が定まらない為にソフトのリリース戦略や、プロモーション戦略にブレが起こり、その為にハードの存在感を打ち出すことができなくなるという悪循環にも陥ります。
PS3の戦略上急務であるのは、キラーソフトの登場です。しかしそれは、必ずしも今までの大作ゲームの延長上のものではないというお話を最後にしたいと思います。