ゲーム業界ニュース/ゲームニュース講座

ゲームとゲームユーザーとWeb2.0(3ページ目)

今、インターネットの形が変わり、コミュニケーションの形が大きく変化してきています。Web2.0という言葉の意味を解説すると共に、ゲームユーザーの新しいコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


ニコニコ動画でゲーム動画が大人気

おっくせんまんの図
音楽の動画では、メロディにあわせて、歌詞を綴ったコメントが画面上を埋め尽くすこともあります
Web2.0型のサービスとして急成長しているものに、ニコニコ動画という動画共有サービスがあります。ユーザーが動画をアップロードし、その動画にみんなでコメントをつけることができるサービスです。

特徴的なのは、掲示板やチャットのような仕組みではなく、動画が流れている画面の中に、リアルタイムで直接書き込むことができるという所。これによって臨場感のあるコメントを動画と一緒に楽しむことができます。動画は再生数やコメント数の多さ、あるいはユーザーが任意につけるタグで整理され、自分の興味ある動画を探すことができます。はてなブックマークと同じように、情報の発信者、受ける側、そして整理する側が区別無くコミュニケーションが行われる仕組みです。

そこで、実はゲームの動画が実に色んな形で楽しまれているんです。例えば、Xbox360に地球防衛軍3というゲームがあります。これを、「おじいちゃん」がプレイした動画というのがアップロードされ、人気になっています。孫と名乗る人物がボケ防止にゲームをしているという自分のおじいちゃんのプレイ動画をアップロードしたもので、実際画面にはおじいちゃんは登場しませんが、その奮闘ぶりを応援し、ステージクリアを称え、大きな盛り上がりを見せています。

あるいは、ファミコン用ソフトとして発売されたロックマン2Dr.ワイリーの謎というゲームのゲーム音楽に、歌詞をつけ、生演奏をしている動画、ドラゴンクエスト3の世界をニートが冒険する動画、Xbox360のレースゲームForza2のカスタマイズ機能を使って、車に人気アニメのキャラクターなどの絵を描いた動画など、実に豊かな発想でユーザーが色んな動画を作り、楽しまれています。

【関連サイト】
ニコニコ動画(RC)

全てのゲームプレイヤーが表現者になる時代がくる?

注目したいのは、どれもプロが仕掛けた動画ではなく、一般のユーザーが工夫を凝らしてみんなで楽しむ為だけにこしらえた動画であるということです。特に、地球防衛軍の動画などは、本当に普通のおじいちゃんがプレイしただけの動画なのですから。

しかし、見てみると、実に面白い、手に汗握る動画になっているんです。おじいちゃんがんばれと、コメントせずにはいられない動画になっています。そういうものをユーザー同士が気軽に共有して盛り上がるということは、少し前ならとても考えられないようなことでした。そしてそれはゲーム業界にとって、ゲームの新しい楽しみ方を予感させるものです。

ゲームの映像や音楽を使ったユーザーによる二次創作は、著作権など、ややこしい問題もはらんでいます。しかし、そういった問題を超えて、例えばゲームハードのオンライン機能などを使って、積極的にユーザーのファン活動を活性化させるようなシステムを、今後ゲーム業界は考えていく必要があるように思います。そうした時、ゲーム開発者だけが表現者だった時代は終わり、全てのユーザーがプレイヤーであり、表現者になる時代がくるのではないでしょうか。
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