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モバゲータウンはDSの脅威となるか?(2ページ目)

今、急成長を遂げている携帯電話専用のゲームサイト、モバゲータウン。破竹の勢いで会員数を伸ばすその仕組みをご紹介しながら、携帯電話のゲームがゲーム業界にどう影響を与えていくか考えてみたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


通信とゲームの融合 SNS×ゲーム×携帯電話

モバゲータウンのCMの図
人気お笑い芸人のよゐこを起用したCMも展開して、更なるユーザー拡大を狙います
既存のゲームハードの顧客獲得の方法と言えば、何と言ってもゲームソフトでした。やりたいソフトがあるからハードを買う、ですからコンテンツホルダーはキラーソフトと呼ばれる購入を決定づけるような人気ソフトを集めるのに苦心します。しかし、モバゲータウンの集客方法は、全く違う切り口を持っています。

モバゲータウンの一番の特徴と言えば、ただゲームをダウンロードするだけのサイトではなく、SNSになっているというところです。SNSとはソーシャルネットワーキングサービスの略でmixiに代表されるような、コミュニティ創造を目的とした会員制サイトを指します。モバゲータウンで会員に登録すると、まず、マイページが与えられます。そこで、ユーザーの分身となるキャラクターであるアバターを表示したり、日記を書いたり友達とメッセージを交換することができるのです。ゲームのダウンロードサイトにSNSをくっつけることによって、モバゲータウンはゲームを媒介としたコミュニティを作っているわけです。

さて、ここで冒頭でお話したことを思い出していただきたいと思います。携帯電話はゲームハードと違い、ゲームを主目的として買うわけではないと、申し上げました。では、何の為に買うのでしょう? それは、通信の為ですね。電話やメールなど遠く離れた人とコミュニケートする為に買うのです。そう考えた場合、このモバゲータウンの仕組みは実に理にかなっているわけです。モバゲータウンはゲームコンテンツ配信サービスを行っているというよりはむしろ、ゲームを切り口にして、主に10代をターゲットとしたコミュニティをモバイルサイト上に作り上げるという通信のサービスを行っているのです。

ゲームでお金を取らないビジネスモデル

モバゲータウンは、ビジネスモデルも既存のゲーム業界のものとは全く異なります。基本的に、ゲームでお金を取ることをしません。結論から言えば、広告が主な収入源になります。ゲームサイトでありながら、ゲームでお金を儲けないのです。ちょっとややこしいので、順番に説明していきましょう。

モバゲータウンでは、サイト内で使えるモバゴールドという仮想通貨があります。現金には換金できませんが、モバゲータウンの中で、自分のアバターの服などを買うのに使うことができます。アバターはマイページだけではなく、対戦している時などにも表示され、ユーザーは思い思いの格好をさせ、自分を表現して楽しみます。

では、このモバゴールドをどうやって手に入れるか。ここで、広告が出てきます。モバゲータウン上で広告をクリックしたり、モバゲータウンと提携しているサイトでショッピングをしたりするとユーザーにモバゴールドが貯まる仕組みになっています。

つまり、ゲームを遊ぶ為に会員になる→コミュニティで友達を作る→友達に見せる為にアバターに色んな格好をさせたい→広告をクリックする、と、こういう形になっているわけです。とても複雑ですが、ユーザーから直接課金しないことで、会員になる敷居をさげ、コミュニティ拡大と収益構造の2つを同時に実現可能にしています。

ちなみにモバゴールドは友達にモバゲータウンを紹介することでも手に入れることができ、集客の仕組みにも組み込まれています。コミュニティができあがると、今度はコミュニティそのものが集客エンジンになっていくわけです。

こういったビジネスモデルは、パッケージソフトを販売していたゲーム業界では全く考えられない発想ですね。完全に通信の業界の考え方です。あくまでゲームは集客する為のエンジンで、出来上がったコミュニティと広告を上手く結びつけることで大きな収益を得ています。

モバゲータウンはDSなどのゲームハードには無い独自の展開で拡大してきました。こういった携帯電話のゲームは携帯ゲーム機の脅威になるのでしょうか。
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