かんたん あんしん 無料
お子さんにも安心してゲームを与えることができるよう、お金がかからない、知ってる人とだけ通信できるという仕組みを作っているんです。 |
任天堂は自社でオンラインゲームのサービスをするにあたって、そういったネックになる部分、つまり設定などが難しいということ、コミュニケーションのトラブルが起こりやすいということ、そしてお金がかかるということ、これらの問題点を逆手にとってアピールすることを考えたんですね。そこで、かんたん、あんしん、無料なわけです。
実は、単純にオンラインゲームのサービスのクオリティという話をすれば、マイクロソフト(以下MS)のXBOX360の方が遥かに充実しています。XBOX360の持つXBOXLiveというオンラインサービスは、既に自宅にいながらにしてたくさんのゲーム動画や体験版をダウンロードすることができますし、友達がオンライン中であるのか、今どんなゲームをしているかなどがすぐに分かる仕組みになっていていて、メッセージやボイスチャットなどで簡単に今遊んでいるオンラインゲームに誘うようなこともできます。
MSの戦略というのは充実したオンラインゲームのコンテンツを用意し、できる限りたくさんのユーザーの情報をオンラインにのせて、ユーザーのコミュニケーションを密にする仕組みをたくさん作るというものです。家庭用ゲーム機史上これほど充実したオンラインサービスはないと言えるほどのものですが、中にはお金がかかるものもありますし、自分の情報も自己責任で気をつけて管理しなければならない部分が多く、コアユーザーをとても強く意識したつくりになっています。
一方任天堂が意識したのは、ライトユーザー、あるいは子供層です。先述した通り、Wi-FiコネクションというのはDSとソフトさえ持っていれば自宅にインターネット環境が無い人でも体験することができます。また、多くのソフトは不特定多数とゲームを遊ぶ仕組みの他に、フレンドコードと呼ばれる12桁の数字を交換した人とだけ遊ぶことができる仕組みを使っています。おいでよどうぶつの森のように、ユーザーのコミュニケーションが密になるソフトに関してはフレンドコードを交換した相手としか遊べないような、あえて閉鎖的で、その分安全な環境を用意している場合もあります。そして、任天堂のソフトに関しては全てのサービスが無料です。これは、Wi-Fiコネクションというサービスの位置付けを広告宣伝とし、そこで費用を回収するのではなく、無料のサービスによってゲームソフトをより多く買って貰うというビジネスモデルを採用してることによります。
子供達に人気があり、今までゲームをしなかった層を開拓してきた任天堂と、もともとパソコンのソフト開発をしていて、オンラインサービスに関しては一日の長であり、コアユーザーに強いゲームコンテンツを多く持つMS、それぞれの狙っている顧客層や戦略によって提供するオンラインゲームのサービスにも思想がはっきりと現れています。これらのオンラインサービスがこれからどう受け入れられ、発展していくのか、それはゲーム業界全体の方向性にも関わってくるのかもしれません。
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