「PS3」の敗因とは?
以前、GameWatchにおいてソニー・コンピュータエンタテインメント平井社長のインタビューが掲載された。そこで語られた内容に「PS3はゲーム機。それ以外にない」という発言があった。ソニー・コンピュータエンタテインメント、平井一夫社長兼グループCEOインタビュー
この言葉の真意は、以前「PS3はゲーム機ではない」と語った久夛良木前社長路線から脱却すると言うことである。
次世代機登場以前にはユーザーのゲーム離れを懸念する声が多く、ゲーム業界として新たなユーザー層を開拓する必要性に駆られていた。
そんな中Xboxは、純粋なスペックアップによる正統進化の道を選び、Wiiは新たな操作法を提示することによる新しいプレイ感覚を提示した。
そこでソニー・コンピュータエンタテインメントが賭けたのが「エンターテインメントの究極化」なのである。フルHD表示の美麗な映像、Blu-rayDiscの再生など、思いつく限りのAV機能をテンコ盛りしたのがPS3だ。
ゲームという分野そのものを拡大解釈し、新たなユーザー層の開拓に成功したWiiに対し、PS3は「エンターテインメント」という言葉のあやふやさも手伝って多くの人に「ソフト待ち」という印象を抱かせた。この現象をより大きい視野で見てみると、Wii対PS3の勝ち負けという図式とは別の勢力図画が見えてくる。
Wiiはテレビゲームに興味がなかった層、かつては遊んだが卒業してしまった層の取り込みに成功した。PS3はゲーム機に付加価値を持たせて、従来より広い層に訴求しようとして失敗した。その上で「これはゲーム機なのである」という基本に立ち返って従来のユーザー層にアピールしようとしている。
新しいユーザを獲得し、大成功を収めたWiiに対し、PS3は従来のユーザー層を前に「勝手に転んだだけ」とも言えるのである。