初代にはあったPS2互換

2006年11月11日に発売された初代PS3(20GBモデル、60GBモデル)には、あらかじめ予告されていたとおりPS2、PS1との後方互換機能が搭載されていた。しかしその後発売された普及モデル(40GBモデル、80GBモデル)にはPS2との互換機能は搭載されず、PSのみの互換が保たれていた。

もしPS2との互換機能が「あった方がいい」か「ない方がいい」かを問われれば、ほとんどのユーザーは「あった方がいい」と答えるだろう。
PS2というハードは、PSが現役ハードだった中、PSとの後方互換機能を売りにして登場した。

実際我が家のPS3は、PS1のソフトが一番動いている。

実際我が家のPS3は、PS1のソフトが一番動いている。


当時は新型ハードと旧型ハードは別物として発売されるのが普通で、ファミコン、スーパーファミコン、ニンテンドー64の間に互換性はなかったし、PCエンジンもセガサターンも同様だった(過去にセガハードで後方互換を実現したものはあったが、普及していない)。

PS2が「勝ちハード」になった一因ともいえる後方互換だが、2007年11月11日にPS3の40GBモデルが発売される折、その互換機能はばっさりと排除され、その後初代モデルは発売終了となり、互換機能のあるPS3は事実上市場から姿を消した。

EE/GSは省かれる運命にあった

そもそもSCEは、PS2との互換をPS3の基本性能だけで実現しようとしていた。PS3に搭載されているCPU、GPUのみでPS2のソフトを動作させるには、PS3自体がPS2のフリをすればよい。これはPS3上で動く「PS2エミュレータ」の開発によって可能になる。しかし、おそらく「PS2エミュレータ」の開発は困難を極めたのだろう。

PS3のローンチに間に合う目処が立たず、SCEは「PS3の中にPS2のハードウェアを入れてしまう」という方法でこれを解決した。つまり、PS2のCPU(エモーションエンジン=EE)とGPU(グラフィックシンセサイザー=GS)を入れてしまったのだ。この方法でも100%の互換性は維持できず、PS2アーキテクチャの複雑さを印象付けた(サードパーティーにハードウェアの詳細を公開したツケとも言われる)。

初代発売当時から将来的にEE/GSは省くと公言されており、事実、40GBモデルでは非搭載となった。ここでも『PS2エミュレータ』は登場せず、SCEは「PS2互換は無しで行く」と宣言したのである。

至上命題となる逆ザヤの解消

PS3は発売当時から相当な逆ザヤ(製造原価や諸費用が販売価格を上回る)だと言われ続けていた。そもそもの設計が「大量生産による大幅なコストダウン」を前提にしていたと見られ、普及期以降に利益を回収するビジネスモデルを取っているとされた。

久多良木前社長によると、PS2までは逆ザヤではなかったそうな。

久多良木前社長によると、PS2までは逆ザヤではなかったそうな。


だが販売後PS3は伸び悩み、肝心な量産効果が得づらい局面にあった。しかしながらライバル機の中で飛びぬけて高い価格は購買意欲を削ぎ、逆ザヤの解消、値下げは至上命題となった。そんな中で発売された40GBモデルは、従来より1万円ほど安いという値下げと引き換えに、PS2との互換性を失ったのである。EE/GSを省くことがそれほどのコストダウン効果をもたらすのだろうか。

いまだ強いPS2、ソフトが伸びないPS3

EE/GS、およびそれに直結するRDRAMが省かれた現行型のPS3だが、実はそれほどコスト的に有利ではないというSCEAトレットン氏の発言がある。ではなぜ省かれたのだろうか?

考えられる理由は3つある。1つ目は、それほど製造原価の圧縮に苦しんでいたということ。2つ目は、あまり好調とも言えないPS3のソフトウェア販売にユーザーを集中させたいということ。3つ目は、未だ売れ続けるPS2本体の売り上げを確保したいということ。

次世代ゲーム機が発売されてからPS2の市場は縮小したが、それでもインストールベースは世界一。注目作が発売されればそれなりに売上も見込める市場なのである。当時でも週販10,000近くを販売していたPS2本体の利益は見過ごせない。

とはいえ、世間にPS2互換ありとPS2互換なしの2モデルが存在することになり、ユーザーの混乱も考えられる。そこで再び浮上するのが「PS2エミュレータ」の噂である。

期待できない?「PS2エミュレータ」

「PS2エミュレータ」は実現さえすれば、現在普及しているすべてのPS3でPS2のタイトルが動作するという魔法のプログラムである。誰もその存在を確認していないが、噂の数は枚挙に暇がない。日本では発売されてないが、欧州ではEEを省きGSのみを搭載したPS3が存在する(すでに発売は終了)。EEのエミュレーションには成功したということになるが、残念ながら互換性はかなり落ちるようだ。

その上でGSを省くということになると、「PS2エミュレータ」は(実現したとしても)互換性の上では不満が残るものになるのかも知れない。おそらく高い互換性を実現するためにはEE/GSをもう一度搭載するしかないのだろうが、それはこれまで以上に市場を混乱させることになるかも知れない。おおよそこんな理由により、現在までPS2の互換は復活していない。

魔法のプログラムか新型か

PSP goで、本格的なPSPタイトルのオンライン販売が始まろうとしている。現在その前準備の段階だが、PlaystationStoreにはPSPのタイトルが続々とオンライン購入可能になってきている。

これは完全な憶測だが、SCEにとって、PS3でのPS2タイトルオンライン購入も念頭に入っていた筈である。PSのタイトル、PSPのタイトルでオンライン購入の実績を積んだ後、PS2タイトルに手を伸ばすという考えがあってもおかしくはない。その際、魔法のプログラムが登場するか、互換復活を果たした新型PS3が登場するか……。つい、そんな期待を持ってしまうのである。

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