■未経験って素晴らしい

フィールドの風景、モンスターの愛くるしい(又は凶暴な)動き、派手な魔法のエフェクトなど。それらはPS2の機能を生かして作られたものにもかかわらず、昔のゲームっぽい感覚が強く残ります。

それは技術を多用してケレン味を感じることが多い昨今のゲームの中ではむしろ逆の、「技術を誇示」するのではなくて程よいバランス感覚で「当時思い描いたものの完全版」を作ろうとしたからなのではないかと感じました。

映像的な進化ばかり言及してしまいましたが、音楽についてはなんとNHK交響楽団によるフルオーケストラサウンドと言うことで、非常に豪華なものになっています。素晴らしい楽曲ばかりでなんとも贅沢! 「おそらく当時のすぎやまこういち氏の頭の中ではこういう音楽が鳴っていたんだろうな」と思うと感慨ものですね。これもできれば当時のサウンドと聴き比べてみたいと思いました。

演出に凝ると犠牲になりがちなテンポ、遊びやすさがとても重要視されていて、とても遊びやすいゲームになっています。ほとんど『ドラクエ』を遊んだことがない僕にもその魅力は十分に伝わりました。

そして、多くの人が遊んだであろう『ドラクエ5』の豪華版を、先入観のほとんどない状態で遊べるというのはひょっとしたら素晴らしいことなんじゃないだろうかと思いました。

考えたら会話シーンに音声が入ることもなく、演出は控えめ、余分なムービーもないゲームと考えると、むしろ昨今のゲームの中では地味なほうなのかもしれません。しかしプレイを始めるとなかなかやめられない麻薬的な魅力があるんです。

相手がいないときの「はなす」コマンドは仲間との会話バリエーションがたくさんあって感心しました

それは、映画的大作RPGにおける「遊べー、クリアしろー、感動しろー」という大作ゆえのプレッシャーとは異なり、単純なことの繰り返しでも楽しめるという、シンプルで純粋な楽しさなのではないでしょうか。

できれば、オリジナルを知らない僕でも「これがこうなったんだ」という事がわかるようにオリジナルがおまけでついていてくれたら、と思いましたが、ひょっとしたら未経験者はターゲットに含まれていないのかもしれませんね。

と言うわけで、遅まきながら僕も『ドラクエ』ファンの仲間入りをさせていただいてよろしいでしょうか?

『ドラゴンクエスト5 天空の花嫁』
スクウェアエニックス
8,190円(税込)
3月25日発売



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。