■とにかくなりきると良いと思う |
このゲームは徹底して「シチュエーションに没頭できる」ことにこだわって作られている。 その例として、まず最初にオープニングから主人公が一切しゃべらないことが挙げられる。主人公=ユーザーだから余分なところで喋ってはいけないというわけである。そんなわけで感情移入度は非常に高い。 もうひとつ、感情移入しやすい点としてリオの性格がややキツイことも特筆すべきだろう。こちらから指示を出しても反応が大仰でなく自然だし(いちいち指示をすべて復唱されると萎える)、もともと彼女の対応がややぶっきらぼうなので、うまく認識されなくて無視されてもそれほど腹が立たない。 ちなみにリオが魅力的で(単に僕の好みだからだ!)、そういう意味でも非常に楽しめた。きっとヒロインを複数から選ぶ美少女ゲームっぽいものもそのうち発売されるに違いない。 あと、ミニゲームの充実具合もすばらしい。ゲーム中のチップと呼ばれるアイテムを集めると「漢字の読みを当てる」「英語を上手に発音する」といったミニゲームが遊べる。この出来栄えがすばらしい! ミニゲームだけでも十分楽しめるレベルである。 他にゲーム中にあるアイテムを入手すると遊べる山手線ゲームがある。これは本編中にリオに向かって「山手線ゲーム」と話しかけるとリオが相手してくれるゲームで、山手線ゲームそのものの内容。お題は「県庁所在地」「日本の祝日」「ワールドカップ開催地」「徳川歴代将軍」などがある。どう見ても外国人(実際はハーフらしい)のリオが「家綱!」とかノリノリで答えてくれるのはなんだかとても楽しい。お願いすれば何時間でも付き合ってくれるリオがいじましく、一人きりの夜長にぜひオススメしたい。終わったあとに落ち込んでも責任は持てないが。 トータルで見て完成度はとても高く、システムが斬新で、ミニゲームも充実している。基本的にはアドベンチャーゲームなので、ちょっとしたら気の短い人には向かないかもしれない。が、演出面は非常に優れていて、まさに映画に参加している気分に浸れる。ゲームに不慣れな人でものめりこめるに違いない。 この手のゲームが好きな人には文句なくオススメできるし、「何か面白いゲームないかなー」なんて人にはうってつけである。もしマイクでのコミュニケーションに興味があるのなら『禁断のペット シーマン』を同時に買ってしまってもいいかもしれない。 年末年始に発売されたゲームの中では文句無くイチオシの良作である! |
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